質問「交通安全対策事業のあり方について

(平成8年3月28日参議院建設委員会会議録より抜粋)


(前略)
○山崎力君 平成会の山崎でございます。
  初歩的な質問から入らせていただきたいと思うんですが、今回の法律改正というところでございます。これは確認でございますけれども、いわゆる日切れ法案と言っているような、日付を変える以外に何か改正の目的というものはあるのでございましょうか。

○政府委員(橋本鋼太郎君) 今回の改正につきましては、従来の平成三年度からの五カ年をつくるというものを平成八年度からの特定交通安全も含めて五カ年計画をつくるという改正が主でございます。
○山崎力君 ということで続くわけでございますけれども、この法律ができたのは昭和四十一年というふうに承知しております。それからずっと年度計画で来ておるわけでございます。
  想像するところ、当時の交通事故の急増に対して何らかの安全施設等を緊急的に整備しなきゃならぬ、こういうことでこの法律はスタートしているわけでございます。そうなってきますと、三十年以上緊急措置が続いているということになって、現在ではこの緊急措置という法律の表看板の軸自体がちょっといかがなものかというふうな感じすらするわけでございますが、これを限時法として続けている理由について御説明願えればと思います。

○政府委員(橋本鋼太郎君) この法律は、交通事故が多発している道路などにおきまして交通安全施設の整備を総合的、重点的に行う、これによりまして交通安全を緊急に確保するという目的でございます。そういうことから、この性格から申しまして、期限を限って対策を重点的に行うという仕組みをとっているものでございます。
○山崎力君 御趣旨はよくわかるんですが、そうしますと、これまで三十年間緊急措置をとってきたけれども、それを外すことができなかった現状があるということになりかねません。その点についてはいかがでございましょうか。
○政府委員(橋本鋼太郎君) 御指摘の点でございますが、例えば歩道の整備、これは極めて重要な課題でございます。昭和四十一年以来営々としてこの歩道の整備をしてまいりましたが、これにつきましては大変な費用と時間を要します。昭和四十一年当時はほとんど歩道の整備ができておりませんでしたが、昭和四十五年度末におきましても一万七千キロ程度にすぎなかったものでございます。平成七年度末では十二万八千キロになっておりますが、さらに長期的にはこれは二十六万キロまで整備する必要があるわけであります。そういう意味では、長期的であるというのは御指摘のとおりだと思います。
  こういう時間のかかる施策もございますが、例えば横断歩道橋等につきましては、昭和四十一年以来ほぼ十年間で相当の設置が可能でございました。その整備によりまして、横断歩行者の事故は激減したわけであります。
  そういう事故の状況あるいは社会の情勢の変化にそれぞれ対応して適宜計画を策定し、それに基づき事業を実施していくという観点から、ある時限を限って計画をつくるというこの法律も、それはそれなりに意義があるのではないかと考えております。
○山崎力君 おっしゃりたいことはよくわかるのでございます。ただ、そうなってきますと、年次計画でやっていてしかもいわゆる年度ごとに会計処理しているという計画はほかにもたくさんあるわけでございます。かえってむしろ、どちらがいいのかというこれは行政上のテクニックと、それから我々の立法府としてのそれに対するかかわり方の問題になろうかと思うんです。
  一言で言えば、今度のこの計画自体、これから何をするのかということ自体が、恐らくこれからこの予算が通ってから今後五年間の実際の具体的な計画を詰めていく、それで閣議決定して、たしか六月か七月でしたですか、そういうふうな形でやっていく。その閣議決定の後、それでは我々がその内容に立ち入ってやるということになると、また毎年それをやることになるかということになりますと、こういった委員会におきまして、特に今回の場合は日切れという関連で突っ込んだやりとりが果たしてやれるかどうかという問題もございます。
  そういった観点からすると、果たして交通安全という非常に総合的な問題、その中の施設等ということに対すること、これ単に施設等といっても五年計画の中で五兆円、毎年一兆円という膨大な予算をつけるわけでございます。そういった中で、もう少し中に入っていってやる機会というもの、五年計画はつくるとしても、何か過去の惰性でこの五年計画を積み上げている、いわゆる緊急措置法でやってきている、むしろそういうふうな感じがするわけでございます。
  大臣にちょっとお伺いしたいんですが、いわゆる政治家として、その辺の先輩として、こういった交通安全対策というものは緊急措置というようなことに果たしてなじむんだろうかという素朴な疑問についてどうお考えか、議員としての立場からも大臣の御答弁を願えればと思います。

○国務大臣(中尾栄一君) 先輩ではございますけれども、全く私もこの種のものはそんなに委員みたいに勉強しているわけではございませんが、それでも言っている意味はよくわかりますし、非常によく理解できます。
  建設省及び警察が、昭和四十一年にこの法律そのものが制定をされまして以来、交通安全施設等の整備を積極的に推進していることもこれまた事実でお認めを賜れるかと思うんです。その結果、昭和四十五年度末には一万七千キロにすぎなかった歩道の整備延長が平成七年度には約十二万八千キロになるというように、施設などの整備水準が飛躍的に高まったわけでございまして、自動車などの走行台キロ当たりの死者数は昭和四十一年の約十分の一になるというような結果を見ましても、その効果が着実に上がっているのではなかろうかと、こう思っておるわけでございます。
  しかしながら、その間、自動車交通量の増大、事故に遭う確率の高い高齢者人口の増加など、交通安全を取り巻く社会状況というものは極めて著しく変化しておりまして、それに対応して新たな対策が次々に求められてきておるのではないかと思うのでございます。
  このために、その時点では交通状況に即応した五カ年計画を策定して適切な対策を講じてきたというわけでございまして、今回も同様の考え方に立って、平成八年度を初年度とした新たな五カ年計画を策定するために本法律案を提出させていただいておるところでございますが、五カ年計画は、高齢者事故の一層の増加などの最近の事故状況に的確に対応して策定し、総合的な方策を強力に実施して交通事故の減少を図っていく所存でございます。
  昨今、私ども感じますのは、今までの説明の中にも幾つかございましたように、若者が亡くなっていく数以上に年々歳々むしろお年寄りが亡くなってきておる。これはある意味において、六十五歳というものを基準にして考えるならば、お年寄りはそれだけ運動神経というのでございましょうか、それも反射神経も少なくなっているのかもしれません。それからまた、若者は若者でかつての暴走族的なようなメンバーもおったのかもしれませんが、お年寄りが御自分の御自宅の前を通っておっても事故が起こるということを見ますると、時に反射神経とかということよりも、何も若者に限ったわけじゃございませんが、暴走する車にはねられるような、それに対応でき得ないような状態も加速度的にふえてきておるのかなという感じもしないでもございません。そういう点で、これもやっぱり注意をしていこうという考え方は私は認識の中にあるわけでございます。
  さらにまた、教育の問題点等にもとらえられるように、私は、もう少し何といいましょうか、若者も非常に大きく意欲的な、画期的な活力に満ちたエネルギーは大切にしながらもなおかつモーダレートにという、自分自身がこれを考えていくような教育というものも幼いときから必要になるのではなかろうか。これは蛇足でございますけれども、私の本来持っておる考え方も多少織りまぜまして申し上げさせていただきました。
○山崎力君 次の質問の中のお答えも相当おっしゃっていただいたのであれなんですが、いわゆる五カ年計画自体は、別に私自身反対だというわけではなくて、単年度の来年どうするかということの積み上げよりはこうした問題にはむしろいいんではないかというふうに思っているわけでございます。
  そこで、その絡みでございますけれども、いろいろ今までおっしゃっていただいた中に含まれると思いますが、いわゆる大きくくくって、過去のこれまでの五カ年計画で目指したもの、そしてその中で達成、うまくいったというものあるいはいま一つ足りなかったというもの、それから、今の大臣の御答弁にもありましたが、次の五カ年計画の目標ですね、高齢者に対するというふうなこともございましたけれども、どこに予算上の力点を置いていきたいのかということを教えていただきたいと思います。

○政府委員(橋本鋼太郎君) 昭和四十一年以来、この交通安全対策事業を実施してきたわけでありますが、その中でも特に歩道の整備につきましては、先ほどもお話し申し上げましたが、約一万七千キロほどにしかすぎなかった昭和四十五年度末のストックが平成七年度末には十二万八千キロというようにストック量がふえてきたということもありまして、歩行者、自転車の死者数について言えば、昭和四十五年には七千八百七十九人であったものが平成七年には約半分の四千百八人まで減少するというような効果も上げておりますし、昭和四十一年当時と最近の走行台キロ当たりの死者数を比較しても極めて顕著な効果が上がっていると考えられます。
  また、第五次の五カ年計画の期間中に交差点改良事業、これも重点的にやってまいりました。これらの箇所、約二百カ所につきまして交通事故の事前事後評価の調査をしたところによりますと、この交差点改良をする前の事故の発生が千四百八件あったものが六百六十三件と半減する、このように対策そのものにつきましてはそれぞれ効果があったものと考えられます。
  しかし、マクロ的に申し上げますと、交通事故者の一万人を切るという目標が達成できないというのもこれまた事実でございますし、六十五歳以上の高齢者の死者数がふえているというのも事実であります。
  そういうことから、従来からハード、ソフトそれぞれの事業を進めてきているわけでありますが、特に今回におきましては、第六次におきましては、まず死者数を一万人以下にするということで、事故対策の効率化を図りたい、効率化、さらに効果的な事業にしていきたいということで、事故削減を集中的に実施するための事故多発地点緊急対策事業、こういう事業の取り組みを図ってはどうか、あるいは高齢者の事故を減らすために、さらに高齢者が外出しやすくするために、高齢者がよく使うような住居系地域の歩行者空間を面的に整備するコミュニティーゾーンの形成事業を実施してはどうか。さらに、従来から道路管理者あるいは公安委員会という官側が計画するだけではなくて、利用者の意見を十分聞いてはどうか、利用者と一緒に総点検をしてみてはどうかというそういうソフトの面も取り組んで、今後進めてまいりたいと考えております。
○政府委員(田中節夫君) 従来の五カ年計画の成果、問題点、それから今後の五カ年計画に向けての決意、内容等の御質問でございますが、私どもといたしましては、従来、特に現在の第五次の五カ年計画につきましては、高速走行抑止システムとかあるいは違法駐車を抑えるシステム等々新たな事業を行いましていろんな努力を重ねてまいったわけでございます。
  しかも、事業の実績を見ますと、計画が、特定事業が約一千五百五十億、地方単独事業が四千九百七十億という計画でございましたけれども、実績はいずれも上回っておりまして、特定事業は一千六百七十八億円、地方単独事業は五千百四十九億円となる見込みでございます。
  このように計画に沿いましていろんな事業を行ってまいったわけでございますけれども、この安全施設等整備事業五カ年計画のよって立つところの政府の交通安全基本計画の目標であります一万人以下に死者を抑えるという目標を達成することができなかったということは極めて残念なことでございますし、また、その間におきまして我々の予想しなかったようないろんな情勢、状況が生まれてきたということも事実でございます。
  今回のこの新しい五カ年計画につきましては、今建設省から話もございましたけれども、高齢者にかかわる事故が大変ふえている。昨年におきましては高齢者の死亡事故が全体の三割を超えておるというような状況でございます。今後、日本は高齢化社会に向かっていくということになりますし、また政府の第六次の交通安全基本計画の目標であります平成九年度までに一万人以下に抑える、平成十二年度までにこれを九千人以下に抑えるという目標を達成するためには、やはり高齢者に中心を置いた、高齢者対策に重点を置いた事業を推進する必要があるというような観点で、今回の五カ年計画に当たりましては、特にコミュニティーゾーンの問題でありますとかあるいは信号機の高度化の問題でありますとか、そういう点につきましても、今申し上げましたような交通事故の状況、今後のいろんな要素を考えました場合にそれを踏まえた上での計画ということを考えておるところでございます。
○山崎力君 その点でちょっと重なる部分もあろうかと思いますけれども、もう一度確認の意味でお伺いしたいんですが、高齢者の死亡がふえていることの原因というんでしょうか、何をもって今までそれほどでもないというあれだった人たちが、ただ、人口がふえたということもあるのかもしれませんけれども、何が原因だというふうに思っているのか。そして、それの原因に対しての対策をどのようにしたいというふうに思っているのかということをもうちょっと具体的に教えていただければと思います。
○政府委員(田中節夫君) 高齢者の死亡事故が全体の死亡事故に占める比率が大変高くなってきたのはここ三年ぐらいのことでございまして、従来は年齢層を見ますと若者の世代が大変多かった、一番多かったわけでございますが、これが逆転をしたという状況がございます。
  それで、そのような背景と申しますか、どうしてそういうような状況になったのかという御質問でございますが、一つには全体として高齢者の人口がふえたということはございます。また、人口がふえるに伴いまして高齢者の方々の社会参加の機会が増大をしてきているということがございます。それは、歩行者としての参加もございますし、また高齢運転者、高齢のドライバーが非常にふえてきているという事情もございます。そういうような中で、やはり全体として高齢者の方が道路に出て活動される場面というのが従来よりも多くなってきているということが一つ挙げられると思います。
  しかしながら、一方におきまして、高齢の歩行者に対しますところのいろんな問題での施策が必ずしも十分にはいっていない、さらにはまた高齢運転者をとりますと、高齢運転者につきましては、先ほど大臣の方からもお話がございましたけれども、やはり一般的に運動神経でありますとか、あるいは反射神経が低下をしてきております。加齢に伴いまして低下してきているわけでございますけれども、そういうような方々に対しますところの対策、安全運転教育というのは必ずしも体系的に十分行われてきていなかったというようなことがあろうかと思います。
  したがいまして、高齢者の問題につきましては、今申し上げましたようなさまざまな問題が高齢者の事故の増加という形になってあらわれてきているのではないかというふうに考えているところでございます。
○山崎力君 御指摘、そのとおりだと思います。
  ただそこで、ほかにも絡んでくるかもしれませんが、高齢者の対策として、特に高齢者のドライバーの問題で、技能チェックといいますか今の免許制度全体の問題にも絡んでくるかと思うんですけれども、そういったことが果たしてこの交通安全施設等整備事業に関するというここのところの事業たり得るのか、または別のところの問題ではないかなという気がしないでもないんですが、その辺はお金の出どころの問題になろうかと思いますけれども、いかがなものなんでしょうか。

○政府委員(田中節夫君) ただいま高齢運転者のお話がございましたけれども、やはり私どもはこの交通安全施設等整備事業五カ年計画、新しい計画の中で新しい科学技術を導入した交通安全施設、信号機の高度化というものを考えております。
  そういうようなものが完全にでき上がりますと、いろんな運転者の方、やはりいろんな事象に対しまして対応能力が必ずしも十分ではない、そういうような運転者の方がいるということも想定しながら、信号機の高度化を図るという事業も当然この中には含まれてくるというふうに考えているところでございます。
○山崎力君 やはり、いわゆる交通戦争と言われる交通安全対策という問題については、物をつくるというハード面、施設等の整備というだけではない総合的な対応が必要かと私は思っております。その中で、この安全施設をどうするのかということが当然出てくるわけです。
  先ほどに戻って、五カ年計画ということについて若干異議的なものを申し上げたことからすれば、先ほどのコミュニティーゾーンの問題でございますが、これは交通安全にも資するでありましょうけれども、むしろこれからの建設省の立場からいけば町づくりという大きな問題の中の一つの要素ではないかとも受け取れるわけでございます。交通安全のためにこれをする、こういうふうな方向から行く、予算の裏づけという面からするとそういうことになろうかと思いますが、そうではないんだと、新しい都市、町をどういうふうな町にしていったらいいのかという観点からすれば、同じ建設省でも担当部署が違うのじゃないかという意見は出てこようかと思うんです。
  そういった点で、私自身が先ほど申し上げたかったのは、一つの問題点から出ていく、この交通安全の問題からというだけではなくて、各省庁の中あるいは省庁内部の部局間の間でもどうやって協力体制をつくっていくのかということ、そのときに、この交通安全施設というものがもしこれでずっと緊急措置としてやっていくならば、かえって絞り込んだ方が先ほどの歩道建設の方の促進にもつながるんじゃないかというような気持ちもするわけでございます。
  その辺のところの判断というのは非常に難しい予算配分の問題だろうと思いますけれども、もう少しこの法律の頭書きの法律名になっている緊急措置という観点からすれば何かちょっと、けちをつけるわけじゃないんですが、コミュニティーゾーンづくりの方を新しくと言われても、果たしてそうなのかなという気が若干するものですから、その辺のお考えを教えていただければと思います。

○政府委員(橋本鋼太郎君) この緊急措置法に基づきます事業につきましては、緊急性ということが極めて重要だと考えております。
  そういう中で、今御指摘のコミュニティーゾーン形成事業につきましては、交通安全ということで事故の防止を図るという目的もございますが、委員御指摘のとおりこれは道路環境全体あるいは居住環境全体を改善していくという趣旨も含まれているのはそのとおりであります。
  そういう中で、いろいろな地域があるわけでありまして、あるところにおきましては区画整理をやって必要な歩行者空間あるいは通行空間を確保していくという仕組みが適当な場合、あるいはこのように一応幹線道路という観点からいえば、周辺の道路が整備されていて中の地区道路の整備が不十分で交通安全が確保されていない、あるいは大型車等が進入してくるということを防止するという観点から緊急にこのような事業を実施していくという制度、いろいろな制度がありますので、それはその地域地域の特性に応じまして適切なものをそれぞれ地域が選定していく、あるいは国がいろいろなメニューを提示してそれを選択していただくというやり方ではないかと考えております。
○山崎力君 若干細かいといいますか具体的なことで恐縮ですが、先ほども触れられたと思いますけれども、かつて緊急措置の一つの大きな目玉として道路の横断歩道橋というものがございました。それがかつてほど、目立たなくなったといいますか効力を発揮していないような状況が全国的に見られると思います。もちろん、駅前等の大量の人が歩いて渡るようなところを大きな歩道橋でやるということは新しくやっているところがあるようでございますけれども、一般の国道等に歩道橋が幾つも並ぶという光景はだんだん目立たなくなりました。
  その辺のことは、今回のことも当然、もうかつての話だと思いますけれども、そういった面での結論といいますか、こうであったというようなことは省内、建設省としてまとまっているのでございましょうか。

○政府委員(橋本鋼太郎君) 一つの例といたしまして横断歩道橋の設置についてでありますが、昭和四十一年からの五年間で約五千八百カ所設置いたしましたし、次の五カ年では約二千五百カ所設置しております。現在が約一万カ所程度でありますから、おおむねこの十年でその設置が図られたものでありますが、これにつきましては、通学路を含め横断中の事故が多発しているという当時の事故の発生状況から緊急に整備をしたものであります。
  その後、横断歩道橋の設置もされておりますが、これについては学校が新設された、あるいは通学路を変えた、あるいはその他の交通の状況の変化という観点からこのような歩道橋を設置しておりますので、設置数としてはそれに比べますと減少しているというのは事実だと思います。
  さらに最近では、これを歩道橋ということで上へ行くのではなくて地下道にしていくということも考えておりますし、さらにこの地下道あるいは横断歩道橋にしてもスロープ化していくという施策を講じております。あるいはまた、利用者が多い、さらには身体障害者等の利用が考えられるようなところにつきましては昇降施設も設置していくということも検討しているわけであります。そういう意味で、この横断歩道橋そのものにつきましてもその時代時代で役割が変わり、さらに高度の機能を要求されているというのは事実だと思います。
○山崎力君 いろいろ時代時代によって対応が変わってくるということは当然のことながら感じるわけでございますけれども、やはり問題は、毎年一万人ずつ死ぬ、交通戦争というような表現で行われていることでございます。
  私たちが今回審議している安全施設だけではなくて、その死者を減らすためには、それこそ運転者あるいは歩行者サイドのマナーの問題もあれば、広い意味での道路構造の問題もある、あるいは運輸体系の問題もこれあり、非常に幅の広い中で問題点が指摘されなければならないだろうと思っております。特にここの、我々と違うところでは、昨今の自動車業界を見ればエアバッグをどんどん普及させているという、自動車の構造上の安全性の問題も非常にクローズアップされている。
  そういった中で、どうしたら死者を少なくできるか。そのためには、当然のことながら、各省庁間の極めて密接な協力関係あるいは共同しての検討作業というものが必要だと思いますけれども、そういった中で建設省として、大臣として、ほかの省庁の方々とこの問題を話し合う機会があろうかと思いますので、その点を最後にお聞きしたいと思います。
  あと、蛇足ながら、我が党としては当然この法案に対して賛成をするということでございますので、その点を御承知の上で御見解をお聞かせ願えればと思います。

○国務大臣(中尾栄一君) むしろ、ある意味において大変建設的な御意見を賜っておりまして、先ほどからそういう考え方もあるなということを幾つか感じ取っておりました。
  この間、実は衆議院の委員会でこの問題を、別称の名前ではございますが、やっておりました。そのときにある政党の方は、交差点の信号機をもっとふやせばいいんだ、それが非常に多くの人たちを救うんじゃないかと、こういうことを強く言われておりました。そういうことを聞きましても、これまた先ほど幾つか言われている当然の選択肢の一つでもございましょうし、考え方というものはいろいろあるわけでございます。
  ただ、お年を召した方々が昨今非常にふえておるということは気になることで、これは先ほどマナーの問題までも含まれるのではないかと言われました。これは私の実際の経験でございますけれども、私も自分では心は若いつもりでおりますが、肉体は極めてどんどん衰えておるということがわかりました。高等学校に行く前くらいまでは相撲などをとっても私の方が圧倒的に強かった。ところがこの間、自分ではまだ力が残っておるかと思って、ちなみに私の息子も三十過ぎた男でございますが、組み取ってみますると、そこに布団があったからやってくれたんでしょうけれども、思い切って私の方が投げられて、しかもなおかつ相手は布団を計算した上で、そこへやんわりと落としたのか、それも一つの思いやりでやってくれたのかなと思うんです。
  そこで、ある意味においては、長幼の序という言葉は何も私もあえて使いたくはございませんが、お年を召した方々が運転している場合、あるいはまた歩いている場合、それに対する配慮というものは極めて大事なんじゃないか。今の若者に何も言い聞かせるわけじゃございませんが、おのずから、家庭教育の中から、自分よりも先輩に対する敬意、あるいはまたそういうものをそんたくする気持ちといいますか、そういうものも必要なのかな。こういうものを全部加味しながら考えていかないと、解決はなかなか難しいんではないだろうかという感じさえもしたぐらいでございます。
  大変参考になる御意見をいろいろ聞かせていただきましたが、十分こちらでそういう点も加味しながら検討させていただきまして、これは各省相まっておやりなさいといっただいまアドバイスを賜りましたが、私もそう思っております。
  事、建設省の問題だけではございませんし、警察だけの問題でもございますまい。総務庁やその他にも参画いただいて検討すべき課題ではあるかなと思うほど多岐にわたる問題点かなというふうに受けとめております。こういうことを何回も何回も繰り返すようなことではなく、できる限り一つの恒久的な課題として我々は重く受けとめていくということをお答えさせていただければと思います。
  ありがとうございました。
○山崎力君 終わります。
(後略)