意見交換「アジア太平洋の安定と日本の役割

(平成10年4月20日参議院国際問題に関する調査会会議録より抜粋)


(前略)
○会長(林田悠紀夫君) ただいまから国際問題に関する調査会を開会いたします。
  国際問題に関する調査を議題といたします。
  本調査会では、設置以来、アジア太平洋地域の安定と日本の役割のテーマに基づきまして、さまざまな角度から調査を進めてまいりました。本日は、この三年間の議論の総まとめとして、最後の自由討議を行います。
  本日の運営につきましては、安全保障及び経済協力の分野を中心にアジア太平洋地域の安定に果たすべき日本の役割について、午後四時三十分を目途に、途中五分程度の休憩を挟みまして、委員の皆様方で自由に意見交換をしていただきたいと存じます。発言を希望される方は挙手を願い、私の指名を待って御発言をお願い申し上げます。
  なお、これまで同様、活発な意見交換ができまするように一回の発言時間を五分以内に制限いたしたいと存じますので、御協力をお願いいたします。
  それでは挙手をお願いいたします。
○板垣正君 まず、アジア太平洋地域の政治・安全保障、情勢の認識でございます。
  アジア太平洋地域においては、経済活動を中心に各地域、各国間における対話、協調の流れが生まれ、また日米中ロの相互の交流とその動向が中心的な問題となりつつあります。しかし、なお冷戦体制清算の過渡的段階にあり、不安定あるいは不透明な要素がいろいろ存在をいたしております。こういう情勢のもとで、個々の認識について申し上げます。
  朝鮮半島の情勢でございますが、最近の四者会談あるいは南北対話の不調に見られるように、状況の進展は乏しく、北朝鮮の意図は憶測が難しいものがあります。このままでは体制の行き詰まり、崩壊も視野に入りつつあるのではないか、そうした感じを抱きます。
  中国でございますが、朱鎔基体制のもとに改革推進中で、当面、内政の安定を優先し、特に対米関係改善を初め全方位的協調外交を展開するものと見られます。しかし、中長期的にわたっては、軍事力の近代化を初め総合国力を高め、大国として意図する国際秩序を目指すと見られます。中国の経済発展は必ずしも政治的安定を保障するものではなく、特に中国経済が下降局面に入ったときに地域に不安定をもたらす可能性が指摘されております。いずれにせよ、中国の今後の動向はアジア太平洋地域の安全保障の最大の問題と言うべきであります。
  ASEAN諸国の動向。ASEAN諸国は戦後、順調な経済成長を遂げてきましたが、最近の深刻な金融危機を初めとする経済問題をめぐり、アジア経済は新局面を迎えております。特に、ASEANの盟主国と言われるインドネシア情勢は、治安問題を含め、極めて厳しいものがあります。ASEAN諸国が再び経済安定、発展の軌道を回復することが、アジア太平洋地域の安全にとり極めて重要であります。
  以上が情勢の大ざっぱな認識であります。
  これに対する我が国の対応。
  今、我が国自身、戦後かつてない転換期に直面し、行財政改革を初め、戦後体制の抜本的改革を迫られております。国家存立の基本である安全保障政策においても、内外情勢を踏まえ改めて我が国の基本理念、総合的政策について明確にし、内外に表明すべきではないかと考えます。
  その関連で、世界は、やはり自由民主主義、市場経済、こうした国際的な流れ、国際的な協調協力が共通の価値として方向づけられていると考えられます。我が国は、自由民主主義国家として、市場経済に立つ国として当然その他の国々と連帯し、特にアジアにおける自由民主主義、市場経済の定着、進行を目指すべきであると考えます。
  日米安保体制は、狭義の軍事同盟的性格は持ちつつも、さらに今申し上げた流れにおける、つまり自由民主主義体制を広げていくその一つのシンボリックな存在として位置づけられるとともに、我が国は二十一世紀を展望し積極的な政策を展開すべきであります。特に、アジア太平洋地域における紛争の防止を中心とし、そのため対話と交流の積極的な推進を図るべきであります。
  地域的な対応として、朝鮮半島の情勢、北朝鮮の動向に注視しつつ、不測の事態に対処する体制の整備を図るべきであります。また、拉致問題の解決を基本として対話の継続を図るべきであります。韓国との間には未来指向を目指す健全な両国関係の樹立に努めるべきであります。
  日中友好関係の増進は国策の基本であると思います。同時に、互恵平等、内政不干渉の原則を再確認し、未来指向の立場で交流関係、協力関係を推進すべきであります。中国の安定的発展を求めるとともに、政治改革、民主化、人権問題等に関心を持って対処すべきであります。さらに、防衛交流を進め、中国における軍備の透明性、相互理解の推進を図るべきであります。
  さらに、台湾の問題は我が国の安全保障にとりましても極めて重要な問題であり、台湾自体の存在も極めて影響力のある存在であります。中国に対しては台湾問題の平和的解決について強く求めていくべきであります。
  ASEAN諸国との関係、経済協力の推進、さらにODAを中心とする協力、人材の育成、留学生問題等々も配慮しつつ、またARF、APEC、こうした交流の場に積極的に参画し、ASEANの安定的発展をともに進めるべきであると思います。
  最後に、アジアにおける多角的な安全保障体制について。
  日米中ロ相互の間における安保対話、これは今後進めるべきであります。またさらに、地域的な安全保障体制の枠組みも将来の問題として検討すべきであります。しかし、あくまで我が国は日米安保体制を中核とし、そのもとで積極的な対話の推進を図っていくべきであると考えます。
  なお、こうした関連の中で、集団自衛権の問題についてもこれは見直し、国際的な平和維持活動、PKO活動あるいは国連決議に基づく平和維持の行動等に我が国も我が国としての役割を果たす、こうした姿勢を今後とるべきであると考えます。
  以上です。
○松前達郎君 松前です。
  二つの点について私から意見を申し上げさせていただきたい、こう思います。
  ただいま中国の問題等についても御意見があったわけでありますが、まさに二十一世紀のアジアの平和と安定にとっては中国の果たす役割というのは非常に重要であろう、私もそういうふうに考えております。
  振り返ってみますと、二十世紀はまさにイデオロギー対立の世紀であったと思うんですが、社会主義の壮大な実験、これはもう皆さん御案内のようにソ連の崩壊とともにほぼ終了したように見えます。この事態を見ますと、いわゆる資本主義が社会主義を駆逐してしまったというふうに見がちなんでありますけれども、そうではなくて、世界は資本主義と社会主義が融和をした中で新しい民主主義の道を歩き始めた、こういうふうに見ても差し支えないんじゃないか、こういうふうに私は考えております。
  その過渡期の手法なんですが、これはいろいろあると思うんですけれども、ロシアの場合ですと、これは一挙に民主化を果たそうと、その結果、非常に大きな混乱を生じてきたわけであります。中国を見てみますと、これは段階的に民主化の方向に向かう、そういう政策を今とりつつあるんじゃなかろうか。ただし、民主化といっても我々の考えでいる民主化とは多少違うかもしれません。
  いずれにしても、中国は国内の政治的安定のめどがついた段階になりますと国際社会に乗り出してくるのではないか、こういうふうに思います。したがいまして、中国が国際社会に関与していく方向がアジアの平和と安定に寄与するような方向に向かうように、我が国としても多方面での協力がぜひとも必要だと思っております。
  そのためには、現在、日米中のトライアングルの枠組みというのがございますけれども、政治、経済、文化、学術の面、さらにつけ加えますと情報通信ネットワークの構築ですとか、あるいは衛星によります相互理解のための情報通信、こういったような面を構築していくということが必要なんだろう、こういうふうに思っております。
  また、アジア太平洋地域では、ASEAN地域フォーラム、ARFなど多国間での対話が現在進められてきておりますけれども、これらを支援してアジアの平和と安定の努力を展開する、これも我が国に課せられている大きな役割ではないか、こういうふうに思っております。
  こういうふうな動きはロシアを含めた北東アジアにおいても言えることでありまして、北東アジアの安全保障にとって平和と安定のための対話の仕組みをどう構築するか、これが重要な問題だと私は思います。とりわけ、極東地域では経済問題を含めた新しい協力体制が展開され、その結果生まれてくる経済的環境あるいは社会的環境が日ロ間の未解決の問題にも大きな影響を与える、こういうふうに考えております。
  そういうことで、我が国がやるべきことは、ただ単に軍事力の評価とか危機感をあおるということではなくて、平和に対する前向きの姿勢、そして平和を構築するという考え方、このもとにおける対話というものをもっと積極的に提案し行動を開始したらどうだろうか、こういうふうに思っております。
  以上です。
○上田耕一郎君 この調査会で新ガイドライン問題について参考人を呼んで意見を聞き討議する計画があったんですけれども、残念ながらできませんでしたので、この問題について若干意見を申し述べたいと思います。
  新ガイドライン問題については、韓国政府を除くと、中国を初め東南アジア諸国並びに世論は極めて警戒の強い論調です。これは無理もないことで、第二次大戦中、日本軍国主義に非常に大きな被害を受けた地域、国々でございますので。自衛隊というのは東南アジアの人から見れば日本軍ですから、日本軍がアメリカの軍隊を手助けするためにアジア太平洋地域に進出してくるということについて、日本があの侵略戦争に明確な反省と謝罪の態度をとっていないこととも結びついて批判の声が非常に高まっているんです。
  特に中国はかなり正確に新ガイドラインの内容を見ておりまして、周辺地域に台湾が除外されていないとすると、もし台湾問題で日本が動くとすればこれは侵略的行為だということまで述べ、外交的に周辺地域から台湾を除くことを正式に申し入れもしております。
  それで、中国のその警戒心には根拠があると思うんですね。周辺地域というのは地理的概念じゃない、事態の性質をあらわす概念だという言い方で台湾海峡を除きますということ童言わないわけで、地域的に無限定なので当然台湾問題は入ってくるということになっています。特に、アメリカは米中国交回復の際に台湾関係法というのをつくりまして、台湾に対する武力攻撃があった場合には米軍は軍隊を出動させて台湾を防衛するという法律まで持っているという状況になっています。
  それで、例えば六九年の佐藤・ニクソン共同声明で、朝鮮、台湾、ベトナムに米軍が出撃する際には事前協議はやらないで自由に出撃を承認するということになっておりますし、日米軍事同盟が朝鮮だけでなくて台湾に対しても自由出撃になっている事態は、ベトナム問題はベトナム戦争がもう終わりましたからいいんですけれども、大変危険な軍事同盟体制になっていると思います。
  当初、安保再定義、日米安保共同声明、新ガイドラインを日本の世論に承認させるために、ナイ国防次官補を初めとして、北朝鮮問題、朝鮮有事を盛んに言っていました。しかし、実際には北朝鮮が南朝鮮を攻めるということはあり得ないことは、アメリカ自身がよく承知しております。九四年十月の米朝基本合意が結ばれておりますし、南を攻めるということは韓国駐留の米軍と戦うということなので、今アメリカ及び日本との国交回復、それに基づく資金援助を期待している北朝鮮が南を攻める、米軍を相手にする戦争をやるなんということはほとんど考えられない。これはアメリカはよく承知している。しかし、日本の世論誘導のために北朝鮮有事を盛んに使ったんですけれども、本当のねらいは、一つの核心はやはり対中国戦略にあると思います。二十一世紀の中国の動向を踏まえて、日米軍事同盟を強化して、抑止力にも使うし、中国に対する新しい関与政策の一つの軍事側面として使う意図が明らかにあるんだと思うんですね。
  我々は、アメリカはやっぱりダブルスタンダードと言っていい態度であって、アジアの平和、世界の平和ということを掲げながら、実際には多国籍企業の進出とアメリカの国益の追求をねらっている、そういうダブルスタンダードだと思うんですね。
  その際、今度の新ガイドラインというのは、日本にいる米軍、これは実際に軍事介入のためにいる米軍でありまして、沖縄の海兵隊、佐世保の強襲揚陸艦、横須賀の第七艦隊、空母インディペンデンス、三沢の航空遠征団、すべて日本を守るためにいるのではなくて、外国に対する軍事介入、強い言葉で言えば殴り込み部隊であります。殴り込みは陸軍はいないけれども、アメリカの海軍、空軍は殴り込みの基地として日本を使っており、実際上日本はその自由出撃の基地になっています。
  私は、この調査会で田村秀昭議員が日本の海上
自衛隊は第七艦隊の補助部隊だということを言われて、大変率直におっしゃるなと思ったことがあるんですけれども、その第七艦隊の補助部隊であった海上自衛隊が、今度は殴り込みに対して、日本は攻撃されていないのに米軍に対して、第一線でのドンドンパチパチ以外の情報提供、兵たん活動、輸送作戦等々、軍事的協力を行うと。つまり、殴り込みに対する軍事協力を行おうとしており、それを取り決めたのが新ガイドラインであって、その法律並びに有事ACSAの協定案の要綱が十七日には与党に提示されて、四月二十八日にはいよいよ閣議決定されるという非常に重大な事態になっていると思うんですね。
  これはもう完全に憲法じゅうりんで、憲法前文並びに第九条を全面的にじゅうりんするものだと思います。要綱あるいは新ガイドラインに書いてあります、例えば日本の海上自衛隊の輸送艦、また民間の船も動員されますけれども、アメリカの軍隊、武器弾薬、燃料、これらを輸送するわけですから、これは国際法上も参戦国と認められるもので、自動参戦装置の仕組みができると思う。
  国会として非常に重視すべきことは、そういう重大な問題が国会には基本計画の事後報告、変更する際の事後報告だけで済まされて、一切国会審議にかけられないということです。
  私は、去年十一月に予算委員会でこの問題を取り上げた際、アメリカが周辺地域で軍事行動を行った際、日本としては自主的判断を求められる重大な問題が三つあると。一つは、アメリカの行動が国際法に合っているのかどうか、これを日本として判断しなきゃならぬ問題。第二は、そのアメリカの行動によって起きた周辺地域の軍事紛争が日本の安全と平和に影響するのかどうか、つまり周辺事態かどうかという問題の認定、認識、これが二番目に求められる。三番目に、日本の安全と平和に影響があるのなら、日本は何をするか。国連憲章と憲法に基づいて紛争の平和的解決のために努力するのか、それとも、平和的解決の努力を放棄してアメリカの言いなりにアメリカの軍事行動に協力するという憲法違反の行動に出ていくのかという問題。以上の三つを日本として自主的に判断しなきゃならぬということを提起しました。
  橋本首相は、アメリカの行動が国際法に違反することはあり得ないなどという白紙委任の態度をとられたんですけれども、今回の要綱を見ますと、国会には基本計画の決定または変更があったとき報告するだけで、国権の最高機関である国会がこういう重大な憲法じゅうりん、日本国民をも戦争の惨禍に見舞わせるような、大体新ガイドラインには周辺事態というのは日本有事にも波及することがあるということを二カ所も書いてありますから、そういう重大な事態に対して国会が何らの発言もしない、これは大変重大な問題である。私は、党派を超えてこの問題は国会で審議すべきだと、国会承認を必要とするということを超党派で決めていきたいと思いますし、ぜひそのことは調査会の提言の中にも入れていただきたいと思います。
  以上です。
○永野茂門君 まず、アジア太平洋地域の安定のための基本的な理念といいますか、それについて申し上げたいと思います。
  それにつきましては、端的に言って、軍事安全保障を中心とする安定化への一つの手段、一つのやり方の比重が軽くなっていることはもう全く皆さんがおっしゃっているとおりであります。政治、経済、社会あるいは教育など全面的な、要するに総合的な国の状態をそれぞれの国がさらに前進させることができるように、お互いに協力し、お互いに協調し、そして援助し、切磋琢磨してこれらを発展させていくということが平和、安定、発展の基調であるということは、私は、これからの二十一世紀に向かっての物の考え方の基本にしっかりと据えておく必要があると。皆さんが同じようなことを言っていらっしゃるんですけれども、私はもうこの点を特に強調したいと思います。
  ただ、しからば軍事力を全く無視していいのか、ないがしろにしていいのかというと、そういうわけにはまだいかない、あるいはしばらくの間いかないんじゃないかと思いますが、いずれにしろバランス・オブ・パワーということも十分考えながら平和、安定を追求していく、協調的平和・安定ということを追求すべきであると思います。これが第一点であります。
  それから第二点は、アジアを安定化していくために、今いろいろなシステムがあってそれをフルに各国とも使っておるわけでありますが、私は、今上田先生が、日米安保が最もけしからぬシステムであって大変に侵略的なといいますか、世間を騒がせる、アジアを騒がせるといいますか、対立を激化させる方向に作用する悪者であると、こうおっしゃいましたけれども、悪者であったとするならばもう即刻やめなきゃいけないわけでありまして、それは見方がちょっと間違っているんじゃないかと。日米安保こそは、二国間システムの中で、アジアにおいてはやはりアジアの安定のために、そして平和と発展のために非常に力強く今まで作用して機能してきたし、今後もますますそういう力を発揮させなきゃいけない。
  事実、第二次大戦終了後のアジアの歴史を顧みて、戦いがたくさんありました。朝鮮戦争に始まって、あるいはベトナムと中国との戦いであるとか、中印紛争でありますとか、あるいは南沙列島、西沙列島に対する争いでありますとか、あるいは台湾、これは紛争みたいなものですが、台湾の危機あるいは最近の朝鮮半島の緊張等々ありました。いずれもこれは、朝鮮戦争だとか北越に対する攻撃は冷戦時代の遺物と言えば遺物と言えますけれども、必ずしもそれだけではなくて、基本的な解決すべき問題があったわけでありまして、それを何とか解決して平和を回復した。
  例えば朝鮮半島は二つに割れておりますが、二国ともに国連に籍を持ち、どちらかというと北の方がかたくなに交渉を拒否することが多いわけでありますけれども、とにかく話し合いが進んだりとまったりしておる。中国の問題でいいますと、台湾をどういうように処理するかということにおいてなかなか難しい問題を持っておりますので、いろいろ動きはありますけれども、こういうものもとにかく解決していかなきゃいけない。
  私は必ずしも国内問題に対してそれを放置しておくことがいいとは思わないのでありまして、やはり平和的に解決するような力といいますか方法を含めて相談に応ずるし、あるいはその方向に誘導していくというようなことを、アジアの安定、平和さらには発展のためにどうしてもやっぱりいろいろな国がそれぞれ受け持たなきゃいけないのであります。そういうことにおいても、私は日米安保というものはなお力を発揮していくものだと思います。
  もちろん、今は二国間問題、特に日米安保だけを取り上げたわけでありますが、現在残っておりますところの二国間条約というのは、それぞれの国の安全を確実にするために、だんだんと多国間システムに移っていく間、歳として存在し機能していくことがそれぞれの国にとって、大体アメリカを中心に二国間同盟というのはできておりますけれども、継続して安保協力あるいは安定のための有力な手段として使っていかなきゃいけないと思います。
  さはさりながら、先ほどからいろんな人が触れられておりますように、多国間システム、現在ありますところのARFでありますとかAPECも、部分的には安保協力あるいは経済等を考えるならば極めて重要な安定化のためのシステムであります。こういうものも重要視してやっていかなきゃいけないし、こういうものをさらに拡大していく必要があります。
  先ほど来話が出ております日米中ロは、このアジアにおける四強といいますか四大国といいますか、まだ完全に大国の状態にはなっていない国がアメリカを除くと多いわけでありますけれども、しかし、世界のそれぞれの極としてアジアに位置し、アジアに大変に大きな関心を持っておるものであり、アジアの安定を追求していくための大きな力であります。日米中ロのこのシステムは、も
ちろんその中心はとりあえずは紛争防止でありますとか信頼醸成と思いますけれども、それだけではなくて、政治、経済、特に経済の問題なんかはさらに今中核的な問題でありますし、社会教育などを含めまして、このアジアの諸国間の調整をし、そして協調をなし遂げていくというために極めて重要な力を発揮することができると思います。
  現在のところは御承知のように民間のシステムとして動いておりますし、さらにまた申し上げれば、これは日米中のフォーラムに対する態度でありますけれども、中国はまだ準備が不十分であるからしばらく待ってくれというようなことを言っておるようであります。基本的な考え方としては、この四国による強力なシステムを、公のシステムをなるべく早くつくり上げて、そして今申し上げました全正面における相談をし、そしていろんな手を打っていくという中核の多国間システムとしてつくり上げていくことが、アジアのこれからの安定化について極めて大事なことだと思います。
  日本の役割としては、とにかく一番大事なのは、日米安保の一方の極であるし、今申し上げました四極の一つとして、それぞれ米国あるいは他の三国と協調しながら、知恵と力を出しながら、この地域の平和と安定のための推進役になるということは極めて大事なことであって、そのための努力を惜しんではならないと思います。
  さらにあと二つ、日本の役割として申し上げたいんですが、一つは、やっぱり国際平和維持活動あるいは平和造成活動といいますか、要するに国連の平和に対する活動について日本はもっと積極的に参加していく。今のところ、国連軍への参加は非常に消極的であって、あるいは憲法上の解釈がどうのこうのということでなかなか日本は行動を起こしておりませんけれども、そんなことを言っている時期じゃない。先ほど集団的自衛権の話が板垣先生から出ましたけれども、集団的自衛権の行使に踏み切ることも、特に日米安保の問題なんかを考えますと、アジアの安定、平和ということを考えますと、最終的には必要なことではないかと思います。
  さらにまた、世界の安定を確保するためには、単なるPKOだけではなくて、さらに突っ込んだ国連活動、国連協力活動が日本の役割として当然なさねばならぬものでありまして、憲法などもそういう意味からもう一度見直すということを始めるべき時期に来ているんではないか、こういうことをつけ加えておきたいと思います。
  最後になりましたけれども、周辺諸国の状況についていろんな方がいろんなことをおっしゃいまして、大体賛成をする内容ばかりでありましたが、一つ。
  中国が全方位外交に転換していることは間違いありませんが、だから、非常にソフトな我々と友好を結べる国として、我々のコミュニティーに責任ある一員として入ってこれる状況に既にあると、こうおっしゃったわけではありませんけれども、そういう可能性についても御示唆があったのじゃないかと思います。私は、やっぱりもうちょっと深く入っていかないと、もう少し時間がたたないと、中国が本当にそういうような国になって、我々とともに、先ほどから申し上げていますアジア太平洋、ひいては世界のための協調的な平和、安定、発展の推進力になっていくとは断定できない。
  中国が歴史的に、そしてまた戦後においても、先ほどから若干触れましたように、やや覇権志向的な行動がいろいろあったということ、そしてまだそのにおいが残っているということ。尖閣列島問題でありますとか台湾問題でありますとか、あるいは南沙群島問題でありますとか、そういうところを見ますと、そしてまた、今後の工業の発展といいますか中国経済の発展状況とにらみ合わせて、地域的な格差、民族間の格差だとか、それからエネルギーをどうするかとか、そのためのシーレーン確保をどうするとか、いろいろな問題を考えますと、もう少し中国を慎重に見積もって、中国が皆さんのおっしゃっているような方向に動いていくことを期待するという状況ではないか、こういうように思います。
  北鮮につきましては、これは弁護する人はもちろん、私はまた弁護する人の考え方もわからないんではないのでありますけれども、やっぱり依然として行動が非常につかみにくい、決定が非常に不明確である。したがって、いろいろとちょこちょことあらわれる。今回も四者会談が決裂状態であります。もちろんこれは一つの戦術で終わると思いますけれども、一般的に非常に激しい冒険主義的なことが出てきますので、この冒険主義的なところを防止していく、そして節度ある国として動いていただく。そういうための人道援助も必要でありますし、経済支援等、これは別な問題として、人道上の問題は取り扱いながら、北鮮の善良なる国際社会の一員になっていくことをいろいろな面で支援していく必要があるんだ、こう思います。
  東南アジアその他につきましては、特別に私は申し上げることはありません。
  それから、経済について一言申し上げておきたいのですが、数年前から始まった日本あるいはアジアの経済の混乱といいますか悪化と申しますか、これにつきましては、日本が大改革をやらなきゃいけないというようなことは基本ではあります。それと同時に、正しい意味で米国、ヨーロッパ、EUとしっかりと協力しないと、いろいろな意見の相違、それから官と民の動きの違い等があるようでありまして、その付近はしっかりと日本の立場を踏まえて日本が信ずるところを欧米にぶつけて協調していく。あるいは、こちらももちろん大改革をやらなきゃいけないことは全くそのとおりでありますけれども、相手に対しても物はちゃんと申していくというようなことが本当の意味で大事なことではないか、こう感じております。
  以上です。
○南野知惠子君 本日が最後の意見交換の場であるということでございますが、アジア太平洋地域の安定と日本の役割ということについて申し上げたいと思っております。
  現在、アジアの経済ということを考えてみますと、もとより我が国も大変なんですが、韓国、インドネシア、タイを初めアジア諸国の経済は大変厳しい状況の中にあるというふうに思っております。このような状況を打開して我が国が再びアジア経済の推進役となれるようにするためには、いろいろと痛みを伴うことが多いというふうに思っておりますが、健康や暮らしを保護する規制というものを維持しながら、いわゆる政府介入型が過度にならないように規制するというように、緩和を進めることなどによって経済の活性化に努力すべきものではないかなと思っております。
  二十一世紀を展望しますと、アジア太平洋地域の諸国は着実な経済発展を遂げているというふうに思います。それは、現在の痛みは、政府が主導する経済発展の形から市場の意向を反映した民間が主導する経済の姿へ転換するための過渡期の痛みであるというふうに思っているからでございます。例えば、戦後、さきの大戦の荒廃からたゆみなく日本が努力して復興をなし遂げてきた、世界銀行から借款の供与を受けた被援助国という立場からスタートして世界有数の援助国となった今の我が国の経験が、これを物語っているのではないかなというふうに思っております。みずからの努力によって経済的な離陸と繁栄を体験したアジア諸国の人々の勤勉で活力に満ちた姿勢だとか、安定と繁栄を求めるという意欲は、このたびの困難を克服できるのではないかなというふうにも思っております。
  何よりも我が国は、アジア太平洋地域の安定の基盤を確固たるものとしていくために、人口問題、食糧問題、環境問題、エネルギー、そういったものなどの中長期的かつ地球規模の課題に対する地域的な協力の取り組みに対して、率先して対応すべきものではないかなと思っております。
  人口、食糧問題、これは大変微妙な要素を含む問題ではありますけれども、人口爆発が地球環境や食糧問題に及ぼす影響を見逃すことはできないのではないか。特に、乳児の死亡率、そういったも
のの改善だとか女性の社会的地位の向上などの問題を含めながら、今はやっております言葉ではありますが、リプロダクティブヘルス・アンド・ライツというような視点などを踏まえた人口・家族計画への協力、女性の自立、女性と子供の基礎的な医療または保健の改善などの分野で地道な協力を進めるべきものというふうに思っております。
  また、環境問題では、昨年の国連環境開発特別総会で打ち出されました二十一世紀に向けた環境開発支援構想、これを着実に進めることは当然でございます。さらに、中国に対する大気汚染防止案件による酸性雨の被害防止など、これは黄砂が飛んできたり酸性雨が降ってきたりするといった我が国への影響を防ぐ意味からも、アジア諸国との間でシンボルとなるような環境協力の案件を増加させていくとともに、環境分野における地域協力のネットワークの拡充に努めるべきではないかなと思っております。
  また、エネルギーの分野におきましても、アジア諸国が経済発展に伴い次々と原油輸入国に転じているということを踏まえましても、国際的なパイプラインの敷設による天然ガスの安定供給や多国間の協力による国際河川の総合開発を通じた電力の安定確保などに向けて、我が国は地域協力を進めることを提唱すべきものではないかなと思っております。
  現在、アジア太平洋地域では、ASEAN地域フォーラムなどを通じまして安全保障対話の努力が始まっております。しかし、欧州における全欧安全保障協力機構、いわゆるOSCEのような地域的な安全保障の機構は形を見せていないというのが現状ではないかなと思っております。
  我が国は、自衛隊を精強なものとして節度ある自衛力をもって専守防衛に努めるとともに、先ほども話題になっておりますが、日米安保体制を堅持して、アジアの安定と平和の構築に向けた責任を果たすべきものであると思っております。他方、地域的な安全保障の機構、これは日米安保体制に取ってかわることのできるものとは言えませんけれども、地域の安定に向けた多国間の取り組みとしては大切に育てていくべきものである、そのように思っております。
  そこで、さきに述べましたような人口、食糧、環境、エネルギー、それらの分野における地域協力を進めることを通じまして、ASEAN地域フォーラムなどにおける安全保障対話、信頼醸成の取り組みを側面から支援しながら、アジア太平洋地域の諸国が相互信頼のもとに地域的な安全保障を確実なものとしていく道も考えるべきではないかと思っております。
  このようなことを進める上から、日本はアジア太平洋諸国との間で対等のパートナーとして、ともに歩みともに努力していくという姿勢、すなわち日本の顔を明確に示す必要があるということは言うまでもないと思っております。
  以上の視点を進めます上で、国会の議論に基づきました外交の進め方の大きな枠組みに対して、抜本的な検討を始めるべき時期が到来しているのではないかと思います。
  それには、今国会に改正案が提出されております国際平和協力法またはPKO協力法の整備を進めること、また進んで、自衛隊の存立の根拠を初め我が国の安全保障、防衛のあり方の骨格について定める安全保障基本法を検討すべきことだと思います。また、さきに対外経済協力に関する小委員会の報告で提言されましたODA基本法の検討を進めること、同時に、諸外国の人々の相互理解を深めるための国際交流に関する大綱の策定について検討することなどがあると思います。
  最終報告では特に安全保障の分野でさまざまな御意見がありましたので、これを国会の論議の集大成としてまとめていただくことが大切だというふうに思いますが、同時に、意見の集約が図られるものは積極的に提言として盛り込むことが大切ではないかと思います。安全保障の分野でも、いわゆる両論併記であれがあったこれがあったというのではなく、論議の軸が形成できる、または形成できつつあると思うものに対しましてはこれを明確に示すなど、そういう努力が必要ではないかなと思っております。
  これにより、三年間の調査の成果として、最終報告がめり張りのついた、またはめり張りのきいたと申しますか、そのようなものになって報告書として提出されればうれしいと思いますので、ぜひそのような形でお取りまとめいただきたいと思っております。
  以上でございます。
○魚住裕一郎君 公明の魚住裕一郎でございます。
  アジア太平洋地域の安定と日本の役割について、意見を申し述べたいと思います。
  まず、アジア太平洋地域の一体感が徐々に形成されつつあるのではないかというふうに私は思っております。確かに昨年来、通貨・金融危機による調整局面ということもありますけれども、中長期的には経済の発展というものが考えられますし、大いに期待されるというふうに思います。
  また、民族や文化、宗教、そういう多様性があるということと、また朝鮮半島には冷戦構造の遺物のようなものがまだ残存しているということも特色ではありますけれども、その面についても政治、経済の相互依存が深まってきておりますし、また多様性についても相互理解が深まってきているのではないかというふうに考えております。
  また、学者によっては、特に東南アジアあるいは北東アジアを含めまして儒教文化圏みたいなことを言う方もおりますし、そういうことを基盤にしながら相互理解がもっと深まっていくのではないだろうか。そういう意味で、一体感が形成されつつあるのではなかろうかというふうに私は思います。
  具体的に、昨年来の金融危機の面でも、ある一つの国だけではなくてこれがアジア全体につながっている、あるいは世界経済システムの中に組み込まれているということも一つの証左ではないかなというふうに思います。また、政治・安全保障分野においても、ARFであるとかあるいはAPEC、ASEMというようなものも開かれて、一体感がどんどんできる状況にはあろうかと思います。
  そんな中で、この調査会では多くの参考人の方に来ていただきましたけれども、例えば中西参考人の発言の中ではこういうこともありました。アジアでは協調による平和を実現する上で文化的な一体感が欠けているのではないか、文化的な相互認識の深化の問題を安全保障の問題と考えていく必要があろうというような発言もありました。
  また、広野参考人は、東アジアへの経済協力を強化し東アジア経済協力機構的なものをつくるなど、欧米諸国に追随する無防備なグローバリズムから脱却し、欧米諸国、途上国とともに新しい国際的な経済秩序を考えるべきであるというふうに発言しておられます。
  また、五百旗頭参考人は、アジア太平洋協力を活発にする上で、サーチライトとしてのAPEC大学の創設など、アジア太平洋文明をどう方向づけ構築するかという知的創造に向け、民間の役割の充実を含め努力すべきであると。
  こういうように、さらなる一体感の形成の必要性ということを述べているというふうに私は考えます。
  そうした中で、我が国がどのような位置づけでどういう役割をするのかということが大事かと思います。我が国が果たすべき役割につきましては、まず政治・安全保障面においては、みずから力の空白となることなく、専守防衛に徹するとともに、日米安全保障体制を基軸として憲法の範囲内で周辺の事態にも対応していく体制を整えるべきであるというふうに考えます。
  また、平和憲法の理念に基づいて、アジア太平洋地域はもとより、世界に対し国際平和協力活動やODAを初めとする経済協力を着実に実践していくことも肝要かと考えております。特に、人口、食糧、環境、エネルギー問題などの中長期的な地球規模の課題に対し、日本ならではのソフトパワーの発揮に努めるべきであるというふうに考えます。
  さらに、我が国からは、ARF等の場を中心にして安全保障対話あるいは信頼醸成への取り組みに一層努力していくべきであると考えます。朝鮮半島の平和統一の枠組みづくりも見据えて、北東アジアにおける安全保障の対話とその機構化について具体的な提言を試みるべきであります。また、紛争の予防、戦乱後の復興支援などにも積極的に取り組んでいく必要があろうというふうに考えております。
  以上です。
○寺澤芳男君 まず、今は二十一世紀に向かってというような言葉を使う人もいなくなったし、もう既に二十一世紀というのがあと三年先の話です。ですから我々としては、二〇一〇年とか二〇五〇年とかそういう時限を考えながら、アジア太平洋地域の安定、日本の役割というのをまず考えていかなければいけないと思います。
  そのためには、当然のことながら年齢層が、ジェネレーションというのがますます変わってくるわけであって、一つ非常に大事なことは教育ということ。特に、二〇一〇年あるいは二〇二〇年に向かって間違いなくアジアの指導者になっていくであろうような人々ができれば日本で教育を受けられるような、そういう投資を日本ではしっかりしていかなければならないのではないか。あるいは、現在でも一部の指導者の間にある交流を、四十代あるいは三十代のいろんな各界の人々、第一線で働いている人々の交流にまで広げていく知恵、工夫を日本がイニシアチブをとって考えなければならないのではないかと思います。
  それから二番目は、経済の安定、特に投資を促進するということが、軍事的な同盟よりも何よりも、私はアジア地域での平和に貢献するものであるというふうに思います。これからアジアの場合に、若年層と年寄りとの人口の割合は圧倒的に若年層が多くなってくるだろうし、また、アジアの中での発展途上国と先進国との割合が、人口でいうと圧倒的に発展途上国が多くなってくる。ここにいろんな問題が、特に経済の問題が出てきて、当然のことながら、途上国に先進国が経済援助をする場合に、お金を貸す姿というのはもうだんだんなくなってくるんじゃないか。
  どういう形になるかというと、投資をする、元本がなくなってもいい、とにかく投資をすると。あるいは上げる、返さなくてもいいと。そういう形での経済援助が最もこれから発達してくるのではないか。それも、あくまでも民主導型の、官主導型じゃなくて、政府が音頭をとるものではなくて、お互いに民間同士での経済交流、特にリスクキャピタルを通じての投資、これによるダイナミックな経済発展というものを二十年、三十年の尺度でアジアを考えるときに考えなきゃいけない。
  となると、政府とか国際機関の演ずることのできる役割というのは、例えば投資保証。カントリーリスクのあるところに民間が投資をして万が一元本が回収できなくなった場合は、全部損した部分を払ってやる保険のようなシステム。そういうあくまでも民間の活発な投資活動を促進させるための環境整備というものは、これは各国の政府あるいはアジア開発銀行のような国際的な金融機関がやらなければいけないけれども、基本的にはやっぱり民間であろうと思います。
  それから第三番目は、アジア各国の人々に対して日本が、我々は戦後何もないところからこれだけ頑張って先進国の一角になったんだと、そういうことを誇らしそうに見てもらいたい気持ちは重々あるわけですが、逆に、日本が経済の成長とか効率を追求する余りに忘れてしまったとても大事なこと、今の日本が置かれている、家庭も崩壊し若い人の精神的な支柱がなくなった日本、反面教師としてこれもアジアの人に知ってもらいたい。
  大変残念なことだけれども、経済成長が果てしなく続くと自分たちの精神あるいは文化も失っていく可能性がある。例えば、たまたま私はアメリカの生活が長かったわけですが、アメリカの市場経済の行き着く先の本当にすさまじい負の部分、暗い部分もこの目で見てきております。だから、日本のいいところを見てもらおうというのじゃなくて、トータルに日本を見てもらって、そしてアジアのそれぞれの国の将来の、十年先、二十年先のリーダーたちが反面教師として日本を見ていろんなものを学んでもらえたらいいなと。
  そのためには、最近、特に私立の大学、早稲田とか立命館とか日本大学とか、いろんな大学が率先してアジア太平洋のいわゆる研修センターというのをつくりつつありますが、そういうところにはできるだけ、いわゆるコントロールをするという形ではなしに、政府も力を入れるべきではなかろうか。やはり、人と人との接触、これが国と国との接触以上に大事な時代になってくるのではなかろうかと思います。
  エリツィン大統領と橋本首相との間のロシア投資株式会社、あのスタイルというのは非常にこれからも民間投資を促進させる。すなわち、今まで国有財産であった会社が今度は民営になる、民有になる、そういうときに日本からの資本を求めていくというあの形、政府と政府ではなくて民間同士の投資をする、この経済行動というのが国と国とのつながりの基本になると思います。
  最後に、やはり日本の今までの経済発展の中で官僚の果たしてきた役割が非常に大きかった。ただし、今となっては日本は、その余りにも大きな活躍をし続けてきた官僚、その官僚制度を打破しようとして打破できずに非常に苦しんでいる。これまたアジアの各国がテクノクラートをアメリカで勉強させ、英国で勉強させ、多くのテクノクラートが、若い人たちがいるわけですが、その人たちが逆に官僚制度というものをそれぞれの国でつくって、一たん官僚制度ができるとそれを打破するということは非常に大変なことであるというようなことを自覚しながら、今のほとんどの国がかなり官主導型の経済になっている国が多いわけです。そういう発展途上国の、官主導型の国の将来のリーダーたちもその辺のところをよくわきまえて、あくまでも正しい意味でのデモクラシーを基盤とした政治というものを考えて見据えていただきたい、このように思うわけであります。
  以上です。
○笠井亮君 三年間ということで、アジア太平洋地域の安定と日本の役割ということでさまざまな立場の参考人の御意見を伺いながら、そして多角的な意見交換もやってきて、私も充実した調査会の調査に参加することができたということを感じております。特にアジア経済の問題ということで、ある意味ではこの三年間というのは非常に劇的な展開だったと思うんです。
  当初、我々も参考人の意見を伺いながら議論したことというのは、アジアというのが世界経済の中で最も成長が著しい、世界の成長センターということでの注目もあり、議論もやってきた中で、昨年来、今度は通貨危機に端を発してアジア諸国が内外の需要の落ち込みで経済が収縮するという局面に入っているという点で、調査の中でも劇的な展開を目の当たりにしたなということを感じています。そういう中で、このアジア経済の問題をとってみますと、域内の経済の自主的な発展ということと、それに対して日本が貢献をするという視点がいよいよ重要になっているのではないかということを痛感しているところです。
  昨年七月のタイの通貨危機から九カ月ということで、インドネシアは別にしても、通貨の下落はいわば小康状態と言われておりますけれども、しかし実体経済の回復を見ますと、これは依然先が見えないというのが現実だと思うんです。タイにしましても、回復にはあと三年ぐらいかかるという話も言われておりますし、それほど深刻である。増税がやられ、歳出削減という中で、緊縮政策の中で内需がすっかり冷え込んでいるという現実もあると思うんです。
  これに対してIMFが課した処方せんというのは、先日も議論がありましたけれども、金融引き締めそして経常収支の均衡をやるということであります。国内の消費を減らして、輸出をふやして、それで経常収支の改善を図るというものであったわけですけれども、当初、通貨の下落で輸入が抑
制されて輸出競争力が強まるということで、うまくいく見通しだったというふうに言われていたわけです。しかし、現実は違って、韓国にしてもタイにしても、経常収支の改善はあるものの実体経済が依然打撃を受けているという現実があると思う。それから、IMFの金融引き締めの問題によって銀行が企業に金を貸さなくなったということで、銀行の貸し渋りなどが輸出の不振につながって、これまた経済の回復を困難にしているという現実がやっぱりあると思うんです。
  そういう中で、インドネシアを初めとして韓国、タイという一連の国々で、経済回復の決め手というのが資金が入ってくるかどうかだと見られているわけですけれども、この資金が流入するには市場の信認が必要だと。そして、市場では特にアメリカの金融市場の意向が物を言う、こういう現状がある中で、アメリカの意向を反映するIMFの資金供与というのは、外資への一層の市場開放それから金融自由化が条件になっている。そして、それを拒否すればその一国の経済が機能しないというふうなことに仕組みとしてなってきていて、これが経済のグローバル化、そして金融自由化が途上国にもたらした厳しい現実だということが非常にはっきりしてきているのではないかと思うのです。
  こういう中で、最近東南アジアを訪問した財界関係者の話で、経済のグローバル化がアメリカ化だという反発が強まってアジアではナショナリズムが台頭しているという、訪問した財界関係者の感想というのを見聞したわけですけれども、まさにそういう現実になっているということが言えるのではないかと思うんです。アジアの通貨・経済危機が、アメリカ金融資本のアジア支配を一方で強めながら、アジアとアメリカの矛盾の深まりというのをもたらしているというような図式といいますか構図というのが、非常に鮮明になってきているのではないかなということを感じています。
  今、アジアにとどまらず、世界各地でも、政治あるいは経済、軍事という各国の主権をいわばじゅうりんする形でのアメリカの身勝手といいますか覇権主義への批判が強まって、むしろアメリカの覇権主義というのは孤立化しているという状況がある中だけに、このアジアの状況を見たときに、最初に申し上げたことなんですけれども、やはりアジアの域内の経済の自律的あるいは自主的な発展に日本は貢献するということが求められているわけです。そういう点でいえば、日本の位置と役割といいますか、ドル依存あるいは対米追随の経済から抜け出すということが一層重要になっているんではないかなということを、この間の議論や現実、そして参考人の御意見を伺いながら痛感しているところですので、そのことを申し上げたいと思います。
○岡崎トミ子君 この三年間、アジア太平洋地域の安定と日本の役割ということについて御議論をしてこられた皆様方に、私はことしから参加をさせていただきましたので、大変熱心な御議論に心から敬意を表したいと思っております。
  これまで私が伺った参考人の御意見なども含めて、私の考えを述べたいと思います。
  内政こそ最大の外交戦略であり、日本がどのような国づくりをしているか、骨太な発信をしない限り、アジアの安定の中での日本の役割は見えないと寺島実郎参考人は指摘をされました。
  私はこの御意見に全く賛成でございます。国際社会にあって信頼される行動主体であるためには、日本がどういう国づくりを目指している国で、国際社会でどういった役割を果たしていきたいのか、この二つの点について行動を通して明確なメッセージを発信していかなければいけないというふうに思います。
  憲法は、国民主権、基本的人権の尊重、平和主義というこの三原則を基本としているわけですけれども、これを基本とした国づくりの外交を進めて、アジア太平洋地域における安全保障に貢献するという意味を行動を通して発信していきたいというふうに考えます。
  憲法を安全保障政策の基本とするということについては三人の参考人の方が指摘をされておりまして、山内敏弘参考人は、憲法は国の最高法規であって、武力あるいは戦争ということに訴えるのではなく、非軍事的な方法でアジアの平和と安全を確保すべきであると。浅井基文参考人は、冷戦時代の力による平和路線が中国や北朝鮮というところとの対決構造を生んできたと、冷戦後、力によらない平和、この路線を採用する日本にこそ大きな可能性と役割があるということを言っております。また、憲法の本旨を実践して、他国の脅威とならない非軍事分野でのあらゆる問題に対する積極的な行動を実践する、そういう国であればほかの国から攻撃を受けることはあり得ないし、今こそ憲法を実践していこうという指摘をされております。鷲見友好参考人は、平和憲法の理念に従った話し合いや互恵平等の貿易、経済関係、人道的な援助、こういった軍事力によらない解決の方法を追求して、アジアにおける軍縮へのイニシアチブをとるべきであろうというふうに言っております。
  では、憲法を基盤とした日本の役割とは具体的にどのようなものか。一つは、各国において市民が主役となるための民主化の強化であり、二つ目に、各国において市民が安心して暮らせるための足腰の強い経済づくりであり、三つ目に、各国の市民がお互いの間に信頼を築いて力をつけ合うための交流の促進であろうというふうに思います。
  この三つの点については、田中明彦参考人がやはり国際協調主義に立った安全保障の考え方として紹介されたアプローチに非常に近い考え方だというふうに思います。この国際協調主義の整理として、一つは、民主主義による平和であり、各国の政治体制を民主化して広めていこうとする考え方であります。第二は、経済的相互依存による平和で、経済を密接に結びつけることによって戦争を防止していく考え方であります。第三は、国際的制度による平和で、多くの国が安全保障の話し合いをするという方法であり、相互の国の軍事化を防止していくという考え方であります。
  民主化あるいは足腰の強い経済づくり、他国の市民との交流というのは、アジア太平洋地域の安定のために不可欠なばかりではなく、日本を含めた各国の持続的開発、政治的成熱のためには必要なことだというふうに思いまして、まさにこれからの日本の国づくりの基本とすべき考え方ではないかというふうに思います。
  寺澤さんが先ほどもおっしゃっておりましたけれども、いまだに日本は官依存でありまして、日本自身の民主主義の成熟が必要なのは言うまでもありません。戦争、紛争のない平和な世界をつくるためには、情報を持った市民がしっかりと政府を監視して、声を上げる必要があろうかというふうに思います。また、経済の安定のためにも民主主義が欠かせないことは、インドネシアの例をとっても明らかであります。政府によって人権弾圧ということがあるとするならば、国際社会が声を上げるべきだというふうに思います。そして、日本は本当にそのリーダーシップをとるべきではないでしょうか。日本は、政府開発援助、国民の税金を拠出しておりますし、拠出するに当たっては人権弾圧をやめるように受け入れ国に対して要求すべきことは当然であります。
  足腰の強い経済づくりということでは、日本自身の経済の将来を考えましたときに、第一次産業や第二次産業、中小企業を大切にする姿勢を取り戻すことが必要でありまして、日本の経済を支えておりますのはこれらの産業で働く人々が中核になっているということを踏まえなければなりません。
  東南アジア諸国における経済発展は、安価な労働力による労働集約型の輸出産業に頼るものであります。不平等を拡大することなく奇跡の成長を遂げてきたと言われております東南アジア諸国におきましても、まだまだ都市と農村の格差は著しく大きくなっております。このときに、日本が技術の習得ということによって足腰の強い経済を育てることができるということが大変重要です。当然、その国の自立を助けるという視点で私たちが
技術協力をするということが重要だというふうに思いますし、またその技術ということでいえば、適正技術による農業開発も持続可能な開発という視点から、この援助も大変重要だというふうに思います。
  それから、日本は中小企業者や第一次産業、第二次産業従事者の力が大きいわけですけれども、こうした仕事をしている人たちの派遣、あるいはアジアからの研修生の中小企業、第一次産業、第二次産業への受け入れによってアジアの経済の担い手を育てることができるだろうというふうに思います。こうした民間レベルの技術の交流が東アジア諸国の経済の安定的発展のために果たす貢献は、ODAによる巨大なプロジェクト以上ではないかというふうに私は考えます。民間レベルの技術交流を多国間で進めることで市民の間の信頼醸成にもつながるだろうというふうに思います。
  一つ、具体的に触れたいと思います。
  毎回、インドネシアのことについては触れておりますけれども、今ジュネーブで第五十四回の国連人権委員会が開催されておりまして、実はあした、東ティモールにおける人権状況に関する決議が行われるわけです。東ティモール問題を考える議員懇談会は、四月十五日に外務省の担当者と非公式の会合を持ちまして話し合いをいたしましたが、その外務省の担当者は、日本が仲介者として立場を保つためにはインドネシア、EU、いずれの肩を持つこともできないというふうに言っておりました。
  この点でみずからの主張もなく、効果的な仲介者となることができるのでしょうか。インドネシアは、こね続ければ日本は棄権すると考えているのではないか。そうだとすれば、事態の好転はまさに日本によって阻まれていると言えます。効果的な仲介者となるためには、みずからの哲学を持つことでありまして、ある種の力を持つことが重要ではないでしょうか。日本は最大の貿易相手国であり、援助国であり、インドネシアに対して力を持っていると思います。ここに必要なのは哲学ではないかというふうに私は考えます。
  ODAに関してでありますけれども、ODAは結果的にスハルト体制による人権弾圧を支持するものと受けとめられております。本当に民衆の手に届く援助や、経済の足腰を強くする援助に転換するときが来ております。今のような援助を続けることは、スハルト後のインドネシアと日本の信頼関係の維持に資するものではありません。ぜひここでの転換が必要であろうというふうに思います。
  今、ちょうど人権委員会がジュネーブで開かれているということですので、憲法ということに加えてもう一つ。
  国連憲章に明記されております世界人権宣言や国際人権規約や、そのほかの適用可能な条約において、人権ということと基本的創出ということ、この点に関して、やはりアジアの平和のためにアジアに貢献するという日本の役割でこの点も踏まえるべきだろうというふうに思います。また、子どもの権利条約や女子差別撤廃条約や戦争犠牲者の保護に関するかつてのジュネーブの諸条約の加盟国であるということも踏まえて、アジアの国々に対しての影響力を強めることができたら、私たちは大きな役割を果たすことができるのではないかというふうに思っております。
  以上です。
○高野博師君 総括的なお話ではないのですが、私の所感を簡単に述べたいと思います。
  アジア太平洋の平和と安全という観点から、この問題については三つの側面から考えることができると思うんですが、一つは軍事的な面、それから二つ目は経済的な面、そして三つ目は文化的な側面ではないかと思います。
  そこで、軍事的な面、防衛の面では新ガイドラインが非常に大きな役割を果たすことは言うまでもないんですが、これは周辺事態法案等の関連法案が出てこないと議論ができないんですが、今までの、去年からの議論をずっと見てきましても、もっともっと深く議論すべきではないかというのと、一般国民のこの新ガイドラインに対する理解が依然として浅いということが言えるのかなと。そういう意味では政府はアカウンタビリティーに欠けているんではないかということを指摘したいと思います。
  議論についてもわかりやすい議論ではなくて、例えば周辺事態の周辺とは何かというのは去年からずっと議論してきて、これは地理的概念ではないということを言ってきたんですが、最近になって政府高官が周辺と日米安保の極東は同じだという発言もしている。それなら最初からそう言えばこれはわかりやすい話だったんですが、ぐるぐるめぐりめぐってこういう発言もしている。
  それからまた、集団的自衛権、あるいは憲法との関係でも正面からこれは議論をしなくてはいけないんじゃないかなと。将来に禍根を残さないで、我が国の平和と安全あるいはアジアの平和と安全を守るという点でももっと議論が必要ではないか、そう思っております。政府が戦略上あいまいな点を残しておくことが必要だということは理解できますが、国民の側から見ればよくわからないということではないかと思います。
  それから、先ほどお話があったように、日本がどういう国をつくるのか、どういう国づくりを目指しているのか、展望とかビジョンが見えない、これも私は同感であります。そして、国際社会の中で日本が何を目指しているのか、平和とか人権とか環境とかいろいろ言うのですが、それが依然としてよく見えていないということがあるんではないかと思います。
  二つ目の経済的側面については、これは金融とかあるいは投資の面から先ほども御意見がありましたので触れませんが、文化的な側面からいうと、やはり平和と安全という観点は長い目で見れば各民族とか国民の間の相互理解ということが必要なので、そのための交流等をもっともっと図るべきではないか、そう思っております。
  以上、簡単ですが。
○会長(林田悠紀夫君) ありがとうございました。
  ただいまから三時十分まで休憩いたします。
    午後二時五十九分休憩
      ―――――・―――――
    午後三時十分開会
○会長(林田悠紀夫君) ただいまから国際問題に関する調査会を再開いたします。
  休憩前に引き続き、国際問題に関する調査を議題とし、意見交換を行います。
  発言を希望される方は挙手を願います。
○広中和歌子君 きょうは意見交換ということでございますので、今まで諸先生方の御意見などを伺いながら、どういう形で私がそこに参入できるかなと思いながら伺っていたわけでございます。
  意見をお聞きしながらまた私の頭はいろいろなところをさまよっていたわけでございますけれども、かつてイギリスは世界の七つの海を支配するという大きな国であったのが、第一次世界大戦あたりから次第にアメリカにそのパワーを譲って、そして第二次世界大戦後はアメリカが少なくとも自由主義世界の覇権国であり、ソ連邦と東西対立という形で覇権を争ったわけでございますけれども、その冷戦が終わった後にわかにアジアに注目が集まり、先ほど笠井先生もおっしゃいましたように、つい去年あたりまではアジアが世界の成長センターであるということで、その中で日本がどういう役割を果たすかということでこの調査会が始まったんだろうと思います。調査会のテーマが選ばれたこともあるんじゃないかと思います。
  ただ、これからの二十五年先、例えば二〇二五年にはどういうふうになっているか。今、アジアの経済は低迷のさなかにあり、日本もその例外ではないわけですけれども、二十五年先にはどんなふうになっちゃうだろうか。例えば人口も、アジア・パシフィック・リージョンというんでしょうか、アジア太平洋で四十六億人になる、そして世界全体では九十数億人になると予想されているわけですけれども、割合としては現在とそれほど変わらないにしても、アジア太平洋の人口圧力はす
ごいものがあると思うし、その中で経済発展の、どの国がアジア太平洋の中で覇権をとっていくかというのは、これからまさに展開される問題だろうと思います。
  ただ、大方の予想が一致しているのは中国だろうと思います。先ほど松前先生が、中国の果たす役割は非常に大きく、そして中国の参加がスムーズに行われるように日本が助けるといったような役割をおっしゃったわけですけれども、そういう日本の積極的な役割が必要となるかどうかということさえ問題なほど、中国と日本の役割というのは逆転するんじゃないかななんてちょっと心配になるところがあります。
  日本がこういう世界の、特にアジア太平洋の中で比較優位が次第に失われていくかもしれない中で、やっぱり日本が頑張らなければならない。これからどういうふうに世界と、特に東南アジアの国々、太平洋諸国とつき合っていくかというときに必要なのは、やはり先ほど岡崎さんがおっしゃったような理念、哲学に基づいたしっかりとした考え方を持つことではないかなと思うわけです。そういう意味で前回、私は日本が科学技術において世界に貢献できるのではないかというようなことを申し上げたわけですけれども、それだけではなくて、環境分野それから社会的仕組み、問題対応能力、そうしたものについても発信できればいいんじゃないかなと思います。
  そういう中で、寺澤先生が教育投資をと、長期的な意味で教育投資をしたらいいんじゃないかということをおっしゃったわけですけれども、これは本当に大切なことだと思います。
  言い古されていることでございますけれども、第二次世界大戦後アメリカが始めたフルブライトによって我々は、留学すると最初はアメリカ嫌いになるわけですけれども、しばらくたって、国に帰って青春時代を思い出すと、本当に受けた親切というんでしょうか、学んだことの大きさ、そういうものをアプリシュートするものでございます。
  アジアの国々の若者たちが我が国にやってきて、我が国に対してさまざまな批判など不満もあると思いますけれども、そういうことにめげずに、私たちは彼らにチャンスを与え、そして彼らが自分の力で学び、そして国に帰ってそれを生かしてくれる方向をやはりやり続けるべきではないかなと思います。
  特に、先ほど科学技術のことを申しましたけれども、技術移転、それは必ずしもODAだけでやるものではなくて、投資を通じて技術移転というのもできますし、それから、先ほどどなたかがおっしゃったエネルギー問題、これもアジア太平洋においては大きな問題になると思いますけれども、そういう中で多くの国々が原子力発電を採用しようとしているわけで、この問題はやはり日本は本当に真剣に注目する必要があるだろうと思います。どこかで事故が起これば、その事故の結果というのは、つまり汚染はアジア太平洋を中心に全世界に広がるわけでございますから、原子力発電所の技術移転そして安全性、そういうものに対する指導というんでしょうか、ちょっとおこがましい言い方かもしれませんけれども、そういうものに対しての協力というのはやはり日本ができる分野ではなかろうかと思います。
  ともかく、日本としては、先ほどどなたか、日本がまだアジア太平洋の戦争中に迷惑をかけた国々に対して十分な謝罪をしていないということが問題だという御指摘もあるわけで、私もそう思っておりましたけれども、もう五十年たった今としては、善行を施すことによって許していただくというんでしょうか忘れていただくというんでしょうか、そういう形もあり得るんではないかなと思っております。
  以上です。どうもありがとうございました。
○山崎力君 私は皆様方と若干視点が違っておりまして、まず我々が対外的になすべきことは何かということからいけば、先ほども岡崎先生ですか、おっしゃっていた部分があるんですが、対外的にいわゆる誤った判断を与えないような明確なメッセージを、国家として、あるいは国民として与える体制をどうつくるかということが現在の日本の果たすべき仕事の第一ではないかなという気がしております。そして、それが同時に、同じメッセージが日本国内の国民にも同じように理解されるということをどうやって構築していくかということが、基本的な仕事の一番最初にやるべきことであろうと思っております。
  例えば、安全保障に関して見れば、日本はいかなるときにこれを行うのかということが法体系上できておりません。これはいろいろな考え方があってもいいんです。それこそ非武装中立的な考え方でもいいし、重武装の国家でもいいし、あるいはアメリカ追随でもいいんですが、それはそれなりとして、我が国の安全保障はかくあるということを成文化した一つの国家非常事態法体系とか有事法体系とか、あるいはそういったことでもいいわけですが、それが全然できていない。これは、あるいは立法府あるいは政府あるいは各政党の結果的に怠慢であるという指摘ができるんではないかと思っております。
  そういったことでいけば、前にもあるところで申し上げましたが、自分たちの自衛力はかく行使する、それを担保するというか補強する意味での対外的な軍事同盟条約はこういうものである、その次に周辺事態、自分たちの領土領海外の行動は我々はこうするんだというようなことがはっきりしない以上、その場しのぎで、何を言ってもその場の都合で変わるかもしらぬ。国連の協力内容にしてもしかりということからいけば、そのときそのときにはその場しのぎでできるかもしれないけれども、将来的に日本はどうするんだろう、こういった場合日本はどうするんだろうということを外国の方々に予想させることができない、こういう事態には日本はこう行動するんであろうということを判断してもらうことができないということが続くんだろうというふうに思っております。ですから、まずそこのところをはっきりさせないと、土台がしっかりしない上に柱を立てて屋根をかけるようなものじゃないかという気がしております。
  それから、経済の問題で言えば、今日本が果たせる役割というのは、日本がアジア諸国の製品をより多く輸入できる体制を持つということだろうと思っております。そのためには、我が国の経済が復権といいますか立ち直らなければそれはなかなかできない。いろいろな援助その他はできるかもしれませんけれども、より近い時点での判断からいけば、そこのところをどうするのかといった方がむしろアジア諸国にとってはありがたがられるんではないだろうかというふうな気がしております。
  そういった点から見て、本当の国家戦略的に言えば、世界全体のことを考えてもそうなんですが、世界の安定を一番今揺るがすということは、いわゆる軍事的な紛争を除けば、アメリカ発の世界大恐慌が発生することである。その引き金に日本の恐慌がなり得る。日本の恐慌がアメリカの大恐慌の引き金になり得る。そういった点から考えますと、アメリカが我が国に要求している、日本がもっとしっかりしてアジアの小さな経済不安をおさめろというのは、アメリカのエゴだけではなくて、ヨーロッパも含めた世界の経済界の一つの要請であるんじゃないかなという気がしております。そういった点を踏まえた考え方でいかなければいけないんではないか。
  あとの長期的なことで言えば、一つの国家間の問題で言えば、まさにアジアの巨人である中国がどういうふうに行くのかということが問題になることは当然ですし、中国を超えた人口、食糧問題、あるいはエネルギー問題が将来不安になったときに紛争の火種になるというのは歴史の証明するところですから、その辺のところは当然視野に置くとして、全体的に見ていけば、私たちの現状からいけば、まずやるべきことというのは、経済力を回復してアジアに対して援助できる体制をもう一回つくり直す。
  そして、皆様方の言うのとは逆ですけれども、前にも申しましたが、妙に先走らず、リーダーシップを発揮しようと思わず、アジア各国、その他の国からの要請にどう対応していくか、その対応の仕方が、日本国民とアジアの人たちに対して日本の姿勢はこうなんだということを受け身の対応から理解していただくというのが、私は、日本の置かれた現状から見て、アジア諸国、特に経済問題を中心とした、あるいは人道問題を中心としたアジア太平洋地域の安定に一番資する日本の役割ではないかなというふうに考えている次第であります。以上です。

○大脇雅子君 中国、朝鮮半島を初めアジア太平洋地域の安全保障体制がいかにあるべきかという問題は、我が国の外交上の一大課題であるということが言えます。
  冷戦が終結し、世界史的に見ますと、軍事を抑止力とした構造から現実が日本国憲法の精神や理念、すなわち平和主義の方向に大きく流れが変わってきたということを我々は認識すべきだと思います。
  紛争の予防のための信頼醸成措置というものをアジア太平洋地域の平和と安全を守るためにどのように構築するか、軍縮を推進し周辺事態を発生させないために、まず日本が関係諸国との間で対話の外交を積極的に展開することが必要であると思います。特に、東北アジアにおける日米、中、ロを加えた四国間の地域的安全保障の枠組みつくり、それに韓国や朝鮮民主主義人民共和国を加えて多国間の地域的安全保障の枠組みをつくることが必要だというふうに考えます。
  その枠組みをつくるためのステップとして考えるべきことは、まず民間の有識者、報道関係者や文化、スポーツなど多層かつ多角的な交流を政府レベルそして民間レベルで推進していくことだと思います。
  第二は、人口や食糧、環境、経済、人権など非軍事的な側面の協力関係を網の目のように構築していくことであります。それに対して、やはりNGOの協力は欠かせないものがあると思います。
  第三は、軍縮に向けて核兵器の登録リストをつくったり、軍備を各国間で透明化していくための管理手段についての協議機関を設けることが必要だと思います。ASEAN地域フォーラムでこうした試みが行われており、さまざまな国が積極的にそれに参加しているという状況を歓迎すべきだと思います。
  そうした信頼醸成措置のもとでこそ、アジアの不安定要因を取り除き、平和のための新しい秩序づくりに日本がイニシアチブをとることができるのではないかと思われます。こうした東北アジアにおける地域的安全保障機構を設立することを、まさに重大な課題として日本は取り組むべきだというふうに考えます。
  とりわけ、先日はナイ元国防次官補が、台湾関係法を見直して、中国が香港といわゆる二つの体制ということを考えているので、台湾にもそれを考えて三つの体制という提案をして、今アメリカで話題を呼んでおります。私たちは、日中平和友好条約を尊重する立場に立てば、日本は台湾関係法を持つ米国と根本的に立場を異にして、仮に台湾に紛争が起きたとしても、台湾における紛争は中国の国内問題として、いわゆる周辺事態に含めるべきではないと新日米ガイドラインの問題で主張をしてまいりましたが、これがまさに世界の流れの中で変わろうとしているという大きな問題を私どもは見過ごすべきではないというふうに考えます。
  早急に日米、中、口を加えた地域的安全保障の枠組みつくり、そして韓国と朝鮮民主主義人民共和国を加えた東南アジアの地域的安全保障体制というものをつくっていくための努力を始めるべきだというふうに考えます。
○上田耕一郎君 二回目の発言になりますが、この調査会のテーマのアジア太平洋地域の安定と日本の役割という点で、私は、一番求められているのはやっぱり日本の自主性の確立だと思うんです。自民党の板垣理事がブレジンスキーの言う保護国から脱却しなきゃならぬという発言をされたので、私は大賛成だと言ったことがあるんです。日本は大きなエネルギーと可能性を持っているわけで、それを発揮できないのは、やはり対米追随で、残念ながら自主性が政府に欠けていると思うんです、国民はあると思うんですけれども。これは安全保障の問題でも経済の問題でも同じだと思うんです。
  最近の国際情勢で私が注目しているのは、我々がずっと批判してきたソ連崩壊後のクリントン・アメリカ大統領の市場民主主義諸国の世界共同体の拡大強化戦略という覇権主義的傾向に対して、国際的な批判が非常に高まってきているということです。
  例えば、昨年はドイツのシュピーゲルという雑誌が特集を組んで批判しましたし、アメリカ国内でもワシントン・ポストが特集記事を書いて覇権主義的なやり方を批判しています。それから最近では、キューバに対する経済統制の強化に対してアメリカ国内でも批判が非常に高まっているという問題がありますし、最も大きかったのは、イラクに対する武力行使が失敗した問題です。アラブ諸国は、ダブルスタンダードじゃないか、イラクの大量破壊兵器にあんなに厳しいのにイスラエルの核兵器保有には甘いじゃないかということで、とうとうあのサウジアラビアでさえ基地提供を拒否するということで、アラブ諸国全体が武力行使を批判しました。
  そういう点で、僕は、クリントン戦略の非常に乱暴な覇権主義的なやり方が国際的な批判にさらされて、また一部破綻し始めているということは新しい現象だと思うんです。
  ところが、残念なことに日本は、例えばイラクの武力行使についても外務大臣がすべての選択肢を共有するという共同の発表をするような始末で、最後にはイギリスと日本で安保理事会に決議案を出すと。その決議案も修正されて成功しなかったんですけれども、非常に自主性のなさというのが際立っていると思うんです。これが先ほど申し上げた新ガイドラインに一番あらわれているんですけれども、安全保障の問題でも日本が本当に自主的な、先ほども言われた日本の憲法の平和原則、被爆国としての立場を貫くことがアジアの安全保障のためにも非常に重要だと思うんです。
  経済問題でも批判が高まっていて、例えば最近、読売でしたか、グローバルスタンダードの問題で一ページ特集を組んで、これは実際にはアメリカのスタンダードの押しつけじゃないかということで、経済的な覇権主義についてもさまざまな批判点が出ていることについて日本の新聞も報道するという状況が生まれています。
  いつか来ていただいて意見を聞きました飯田経夫教授は、私は反米じゃないけれども脱米だと言って、日本経済のためにも脱米をしなきゃいかぬ、そうでないとアメリカのドル暴落なんかが起きると心中しかねないという警告をいろんな著書や論文で強調されていることがあります。
  その点で、僕は、アジアの通貨危機の問題でいいますと、寺島参考人、それから日経の論説主幹の小島明参考人らが指摘したような、寺島さんは実需の六十倍という資金流動が揺さぶっているということを述べられましたけれども、今度のアジアの通貨危機のかなり大きな原因にそういう外国為替市場で巨大な量の投機資本が動いている、それがアジアにばあっと流れ込んでぴゃっと出ていくということが今度の危機の重要な要因だったことはほぼ明白だろうと思うんです。
  マレーシアのマハティール首相はなかなか自主的で、東アジア経済会議の提唱はアメリカを除く提唱でしたし、それからAPECのシアトルの会議をクリントン大統領が招集してアメリカの思うとおり質を変えようとしたときには、抗議して欠席するというような態度をとられたんだけれども、今度の通貨危機についても、マハティール首相は例のジョージ・ソロスの批判を猛烈にやってかなり国際的にも注目されたんです。今度のアジア欧州の経済会議でも、マハティール首相は国際的な投機資本の規制について提案して、この提案
は、何か新聞によると、日本の外務省かな、非常に説得的だったと論評したと出ていましたけれども、特別声明にも入ったんですね。それで、マハティールさんはWTOあるいはIMF等々で、この国際的な投機資本の危険な動きについての国際的な共通の規制をするべきだという、具体的な提案をいろいろされているという報道なんですね。
  私は、実は二月二十日の代表質問でこの問題を取り上げて、与野党共同でこういう問題についての国際的な規制はやる必要があるんじゃないかという問題を提起したことがあります。マレーシアは通貨がたしか三割ぐらい下がっている。それでもIMFには支援を求めないで頑張っているという自主的な態度をとっているんですけれども、私は、二十一世紀の世界経済のことを考えても、この投機資本の動き、どの政府もコントロールできないような危険な動きを国際的にきちんと秩序立てる規制をつくるということは、非常に大事な問題になっていると思うんです。
  だから、そういう点でいうと、先ほども提言について申し上げたんだけれども、安全保障の問題では共同の提言というのはいろいろ困難もあります。僕は以前に核兵器の問題では一致できるんじゃないかといっていろいろやったことがあるんですけれども、十年ぐらい前ですか、なかなかこれもまとまらなかったことがあるんです。経済問題では何か有効な全会派一致の提言ができればいいと思うし、その一つにこういう国際的な投機資本についての規制の問題、これは一つ提言として考え得る問題なんじゃないだろうか。そういうことをするためにも、やはり自主性が安全保障の問題でもアジアの経済の問題でも非常に重要になっているということを私は強調したいと思います。
  以上です。
○永野茂門君 ただいま提起された日本の自主性の問題ですけれども、確かに日本は対米追随と言われるような面も持っています。
  私は、先ほど経済問題について、この経済危機あるいは金融危機を乗り切るためには米国並びにEUに対して辛いことも言わなきゃいけない、はっきりしたことを言わなきゃいけないと申し上げましたのはそういうつもりで申し上げたわけでありますけれども、日本はどこにも追随しているんですね。自主性は全くないと言っていいほど、中国にもぺこぺこ、韓国にもぺこぺこ、北朝鮮にもぺこぺこ。これはなぜだというわけですよ。ここのところを直さなくて日本が世界に貢献しようとか日本がアジアの安定について役割を果たそうといっても、これはなかなか難しいです。
  ここのところが基本的な問題であって、そこをしっかりしなければ、それは確かに中国のような、私は中国が一〇〇%非常に強い国になるとは思っていません、かなりのパーセンテージそういう可能性があるとは思っていますけれども、今いろいろと問題が出ておることは多くの人が御承知のとおりだと思います。なかなか重大な問題を抱えておるわけですから、必ずしもうまくいかないときもある。しかし、そのときも大変に困るんですね、その問題の処理について。
  したがって私は、先ほど申し上げましたように、中国をちゃんとした友達にしなきゃいけない、ちゃんとした責任あるコミュニティーの一員にしなきゃいけないということを申し上げましたけれども、そのためには日本とアメリカがしっかりしていなきゃ、あるいはほかのアジアの国と総合した力がしっかりしていなきゃそういうことが遂行できないわけです。私は、マハティールはいいことを言っていると思います。
  これは、基本的には、今の日本人が日本の歴史、文化、伝統、日本民族そのもの、あるいは国土だとか日本を取り巻く環境、こういうものについて全く自信を失っているというか、本当に我々は誇るべきものを持っているんだろうか、持っていないんじゃないか、誇るべきものを持っていないところじゃなくて悪いものばかり持っているんじゃないか、こう錯覚しているわけですね。これが一番大きな原因であって、これこそ日本はまず努力しなきゃいけないし、世界的な貢献だとか、アジアの安定に対して大きな役割を果たすためにはここのところをしっかりやらなきゃいけないと私は思っていたわけです。
  そこの上ころばかり言っていると本当に何をやらなきゃいけないかということを言えないものですから、今まではその点については触れなかったんですけれども、これが一番問題であって、ここで論争するつもりは私はありませんが、憲法の問題が第一であります。その次は、憲法とも関連がありますけれども、教育の問題であって、これまた是正は私は大変だと思います。
  東京裁判のあれも、判決だけを受諾したんじゃなくて、判決に至る全部を承認しているわけですね、受諾しているわけです。これをひっくり返すといったら大変ですよ。その証拠はいろいろあるわけですけれども、しかしこれはそういう手段ではちゃんとした状態にはならないですね。
  いずれにしろ、日本全体の姿勢をしっかりさせなければ、日本が何か偉そうなことを言っても動きませんよ。ですから、この付近でやめますが、これはうちの調査会の問題ではないと思いますけれども、基本的にしっかりさせるということを別なところでしっかりとやらなきゃいけないと思います。
  以上です。
○魚住裕一郎君 二回目の発言になりますが、お許しを得て発言させていただきます。
  いよいよ最後の討論になってきておりますけれども、多くの参考人を呼び、熱心な討論を三年間続けてまいりました。私、個人的にはこの調査会に入ったり出たりというようなことはありましたけれども、各先生方の熱心な参加に本当に心から敬意を表したいと思います。
  先ほど南野先生からもお話しございましたけれども、対外的な経済協力面だけではなくして、これだけやってきたこともございますので、安全保障面にもぜひ最終報告書の中で具体的な提言ができるような努力を会長のもとでしていただきたいというふうに私は思っております。
  それで今、自主性の話も出たわけでございますけれども、日本の平和に対する貢献策という観点から、予防外交と紛争終結後の復興・復旧支援について述べたいと私は思っております。
  まず、予防外交ということでございますけれども、ポスト冷戦期の紛争に対してどのように取り組んでいくかという考え方だと思います。具体的には、紛争発生の蓋然性の高い地域における行政の分析とその強化、それから情報の交換の強化、また国連との連携、さらに信頼醸成措置の推進でありますとか、軍縮や軍備管理の促進、そういったことを前提としつつ、予防措置の策定、発動が行えるような国際的なシステムの構築に向けて、日本も主導的な役割を果たしていくべきではないだろうか。そして、その中で、憲法の枠内で具体的な貢献を行っていく方策を模索していくことが大事ではないかというふうに考えております。
  それから、紛争終結後の復旧・復興でございますけれども、日本は既にカンボジアあるいはボスニア・ヘルツェゴビナ、さらにパレスチナ暫定自治政府等に対して積極的な支援を行っており、国際社会からも評価を受けているわけでございます。その内容は多岐にわたっておるわけでございますが、紛争を終結し、新たなスタートラインに立った国の国づくりに対する日本の支援は今後とも強力に推進していくべきだというふうに考えております。
  今の予防外交と紛争後の復旧・復興ということでございますが、時系列にというか、予防外交をスタートとして、その後、不幸にも紛争が起こってしまった場合の和平に向けた取り組み、そして紛争終結後の平和維持活動、さらには復旧・復興支援、こういった一連の流れであろうと思います。その過程の中では、もちろん難民支援であるとかあるいは地雷の除去ということも対処しなければならないというふうに思います。
  現在、難民支援あるいは復旧・復興支援についてはODAが使われておりますけれども、基本的には、ODAというのは開発途上国の経済開発や
福祉の向上に寄与する、こういうことが主たる目的であろうかというふうに思います。というと、この平和プロセスへの貢献という点から、そういう面でのODAの活用というのは質的に差異が出てくるのではなかろうかと思います。
  これからポスト冷戦期における平和の構築を進めていく上で、この両者の関係を整理しつつ一国際貢献のための包括的な外交戦略、こういったものを構築していくことが必要になってくるのではなかろうかというふうに考えております。
  終わります。
○板垣正君 冒頭にも申し上げた点ですけれども、こういう大きな転換期に当たって、我が国の基本的な理念、我が国の安全保障における基本的な政策、総合的な政策、そうしたものについて改めて内外に明確にすべきだ、こういう点を申し上げました。きょうの御意見の中にも、いわゆる日本が描いているビジョンが内外にわからない、あるいは安全保障面の基本法をつくるべきではないか、こういうような御意見もあったと思います。
  ただ、この問題というのは非常に難しい。一歩踏み込みますと、やはりかかわってくるのは憲法の問題だと思うんです。私は、戦後体制を見直す、その戦後体制の最大の枠組みは憲法でありますから、この際やはり憲法を徹底的に見直すという段階にもう来ているのではないのか。憲法の理念あるいは原則的なものは一つの評価されるべきものであることは言うまでもない。しかし、現実に憲法が、あの特異な制定経過、しかも激動する中で五十年間も全くそのままで来ているという姿におきましても、この激動に対応できないという大きな矛盾点を持っていることは申し上げるまでもないと思うんです。
  今回のガイドラインの問題をめぐりましても、あの見直しの法制化、周辺事態対応の問題をめぐっても、今の日米関係の中における周辺事態対応というものはいかにあるべきか、我が国としてどこまで果たすべきか、これが我が国の国益なりアジア太平洋地域の平和、安全にどうかかわっていくか、そういう基本的な本質的な問題の論議からスタートするのではなく、まず憲法ありき、まず憲法の枠ありき、まず今までの憲法解釈の枠ありきと。
  ですから、あの周辺事態措置法の要綱をまとめるために大変な労力と時間をかけましたけれども、大部分は内閣法制局とのやりとりなんです。国の安全保障にかかわる基本的なあり方をめぐって、延々と、ただ内閣法制局の意向にいかに合致させるかと。まことにほかの国では考えられない。これ自体が端的に、あの憲法に国の基本的なあり方においてもある意味の制約をされておる。この憲法の制約からもっと自由になるべきではないのか。そういうことを踏まえて、かつ国民総意の中におけるものは既に、アジア太平洋地域の平和という問題なり世界の平和というような問題について私は日本国民ほど徹した国民はないと信じておりますから、そういう面においてはやはり制度的にも乗り越えていくべきではないのか。
  それから、中国の問題ですけれども、この二十世紀というのはまさに戦争と革命の時代と言われるわけですね。ある報道によりますと、二十世紀における四大虐殺というのがあるんです。四大虐殺のトップは中国ですよ、中共革命です。確定した数はわかりませんが、約二千万と言われているんです。それから、その次がスターリンのソ連です。これが約一千万。その次がヒトラーです。六百万とも八百万とも言われるユダヤ人虐殺です。四番目がこの間亡くなったポル・ポトの二百万虐殺。こういうものを踏まえて、乗り越えて、すさまじい革命をなし遂げ、今近代化を目指している中国の姿というのは、これは日本的な甘さでは余り解釈できないと思うんです。
  日本人は極めて素直ですから、善意を表明し謝罪すればそれで済むだろうと。それはある意味の善意には違いないけれども、もっと国際社会の厳しい面、確かに国際的協力の面は進んでいる、積み重ねてきた人類の営みで、もう大きな戦争はない、あるいは自由と民主主義、あるいは市場経済体制というものが一つの共通の方向になりつつあるという点はまさに否定できない面でしょう。同時に、中国の立場から言えば、今の世界は多極化すべきだと。しかし、現実にはアメリカの一極支配でありアメリカの一極覇権である、したがってアメリカはアジアからもう兵を引くべきだ、日米安保体制もやめるべきだ、こういうのが中国の基本的な国家理念の根底にあるものでありましょう。
  そういう中において、虚々実々に、今度はアメリカの大統領が六月に行く。それで民主運動家を解放したりする面というようなものを見せながら、反面、核戦略の強化というものをこのごろ図っているという情報がありますね。今までのようなただ抑止ではなくして、核戦略、アメリカにも届くそういう対応でなければというふうな検討が進められているとか、アメリカはアメリカでまたアジア太平洋地域、極東戦略においてもさらに再検討を始める。十万人体制は一応とるけれども、軍事技術の進歩等によっていろいろな検討も行われると。
  やはり、それぞれの国がそれぞれの国益を踏まえながら虚々実々の国際的やりとりをやる、あるいはそれを超えた、さっきのお話のような大きな国際投機筋が何を考えどうしようとしているか、こういうすさまじい面というものを我々は歴史の教訓としても、また今の開かれた我が国の姿を守っていく上からも、やはりさっき申し上げましたような抜本的な見直しを図っていくべきじゃないか。
  それから、さっきお話も出ておりましたけれども、周辺事態対応という日米安保体制の一歩踏み込んだ姿というもの、いわゆる我が国の一国平和主義と言われる体制は、湾岸戦争等を通じても、あるいは国際的評価を通じても、経済的な協力なりそのほかの幅広い地球的問題に対する貢献というようなものは、さっきお話があったとおり極めて必要なことだと思います。同時に、国際社会というものは、力の裏づけのもとに秩序を守っていかなきゃならない、紛争を抑止しなければならない。こういう面におきましては、我が国の平和と安全に重大な影響をもたらすような周辺事態において、我々はただ手をこまねいているわけにはいかない。そういう面における法制化といいますか対応というものは、国際的な責任としても、まさに自主的なみずからの選ぶ道としても踏み出していくべきではないのか、こういうふうに思っております。
  以上です。

○山崎力君 二度目になります。安全保障についてちょっと絞ってお話ししたいと思います。
  皆様方の積極的な意見に対して、私がこの報告書の中でただ一人になるかどうか、ちょっとニュアンスを変えております。と申しますのは、何回も繰り返しになりますが、私は、特にアジアに絡む安全保障の問題で日本がイニシアチブをとるべきではないというのが基本的な考え方です。これがある意味では、アジア各国に対するさきの大戦で迷惑をかけたことに対する国家としての反省をそこに示すという意味で私はとるべきではないというふうに考えております。別に関与するなというんじゃなくて、イニシアチブはとるべきではない、受け身であるべきだという意味でございます。
  その点でいきますと、固有名詞を挙げて恐縮ですが、先ほど大脇先生が、北東アジアにおける米中日ロ四カ国における安全保障機構をつくってはどうかというようなお話がございました。私はそれはそれでいいと思うんですが、絶対そこでイニシアチブをとるべきではない。なぜならば、日本は集団的自衛権を現状において否定しているわけです。この問題を否定している国が、何で集団的自衛権のまさにそういったことが問題となる多国間の安全保障機構のイニシアチブをとれるのか、何を考えているんだと。日本の言っている、政府の今の見解である集団的自衛権の否定、これと私はどうしてもマッチングしないと思うわけです。
  そういった点を考えても、とにかく自国の安全、専守防衛だけを言っている国が、多国間の安全保障関係、多国間の集団的な安全保障機構というものに対してとやかく言える資格はないというのが現時点での私の感覚でございます。

○広中和歌子君 今、山崎先生が、日本は安保にイニシアチブをとるべきではない、そしてそれはもしかしたらこの調査会でだった一つの意見かもしれないとおっしゃいましたので、私は山崎先生の御意見に賛成いたします。ただ、今発言を求めておりましたのは別の視点でございまして、上田先生も、それから板垣先生も、日本が独自性を発揮するべきだという御意見に関して、その部分に関しては非常に賛成でございます。
  私は、日本は日米安保を大切にすべきだと思っておりますけれども、同時に、かねてから日本はもっとロシアとか中国とかと仲よくすべきだと思っておりましたし、EUとの関係も、そして他のアジアの諸国との関係もともかく八方美人でやってもらいたいと思っております。そして、それと同時に、二国間だけではなくて多国間の枠組みをつくり、包括的な形で日本の安全が保たれる。だれとでも仲よくして損なことはないわけでございまして、そういう点では本当に日本というのは独自性をこの面でも発揮するべきだと思います。
  そういった意味で私はマハティールさんが好きでございまして、なぜ日本がEAECに入らなかったのかなと。アメリカを入れないことがそんなに、枠組みに日本が入ることにそんなに気を使う必要があるのかなと思ったことも事実でございます。
  マハティールさんがジョージ・ソロスにかみついた為替の投機の問題でございますけれども、これにつきましても、マハティールさんの感覚的な意見には非常に同調するものがございまして、投機の国際的な規制に対して日本がイニシアチブを発揮する、少なくともマハティールさんなんかと一緒に何かの枠組みを考えることは今から検討してもいいんじゃないかなと思います。
  かつて、これは一九七〇年代だったと思いますけれども、エール大学のトービンという教授がトービン・プランというのをお出しになっておりまして、為替取引のほんのわずかなものでもそれを税金として、国際税として取り上げ、それを環境問題などに使ったらいいという意見を出されて、私はそれ以来、このトービン・タックスというのに関心を持っているんですが、大蔵省に聞いても外務省に聞いてももう全然相手にしてくれなくて、こんなこと現実に可能じゃないと言うわけです。可能じゃないんだったらもっと別の可能になる、このトービン・タックスをモディファイするものでもいいし新しいものでもつくれないものかと思っているわけですが、私はこういう問題に余り詳しくございませんので、同僚議員の中でそういう専門家がいらっしゃいましたら、ぜひ日本がイニシアチブを発揮できるように働きかける、そういう一助になっていただければと思う次第です。
  どうもありがとうございました。
○大脇雅子君 ちょっと私の発言に誤解があると思います。
  私は、冷戦後、世界の潮流は我が国の平和憲法の潮流に合致してきているということを申し上げました。そして、何のための地域的安全保障機構かと申しますと、それは紛争の予防のための信頼醸成措置としての東北アジアにおける地域的な安全保障機構だと申し上げました。これは私にとって、軍事力による安全保障機構を全く意味しておりません。それは、安全保障といえばすべて軍事力だという固定観念のもとでの御発言だと思います。そうした偏見を取り除くためには、地域的な人間の生存のための安全保障機構と申し上げた方が正確かもしれません。
  私が考えているのは、その段階的な紛争予防と信頼醸成措置の人間の生存のための地域的安全保障を構築するためのステップを申し上げたのでありまして、集団的な自衛権行使を前提とする軍事力による安全保障機構は全く私の求めるところではありませんので、誤解のないようにお願いをいたしたいと思います。
  とりわけ今ガイドラインが、板垣先生がおっしゃいましたように、大部分が内閣法制局とのやりとりに終始しているということにも言われるように、今憲法の集団的な自衛権とそれから現在の憲法九条の問題というのが大きな課題となっていて、我が国としてはやはりどうしても日本国のこの平和主義は守っていくべきである、そしてそれが二十一世紀の未来のまさに大きな潮流となるということを申し上げたかったのであります。
  したがって、そういう憲法を守っていく、そしてそういう意味で予防措置その他、先ほどおっしゃいました紛争発生後のいわば援助措置、そうした軍事力ではない非軍事的な側面におけるイニシアチブを持つべきだと、こういうことでございますので、誤解のないようにお願い申し上げます。

○山崎力君 そういうことであれば話はわかるんですが、そうであれば安全保障というお言葉を使わない方がいいと思います。ナショナルセキュリティーにおいて軍事を除いたということは世界的にも日本語的にも使われていないんじゃないかと。これは私見でございますけれども、多数はそういうふうな状況にあるのではないかというふうに私は思いますので、せいぜい信頼醸成措置というお言葉にとどめておいた方が誤解を招かないと思いますので、つけ加えさせていただきます。
○鎌田要人君 私は、今のことに関連しましてちょっと意見らしいことを申し上げますので、しばらく皆さんのお耳を拝借したいと思います。
  私は、国家というのは二つの面を持っているということをいつも考えているんですね。一つの面は、今先生方がおっしゃっておられる優しい面、優しい顔をした国家です。社会福祉をやり、あるいは教育をやり、あるいはみんなに物を与える、そういう福祉行政と言われる面。それと、一国の存立に関係する厳しい面の国家ということの存在を、皆さんのお話を伺っていますと、どうも皆さんお忘れになっておられるのじゃないか。国は優しいものだという面だけをおとらえになっておられるんじゃないかという気持ちがするものですから、余計な一言でございますが。
  その厳しい顔というのは、一国の存立に関係する、具体的に言いますと外交であり防衛であり、あるいは教育であり、そういう面ですね。その一国の存立にかかわる、特に防衛と外交ということを今日本はアメリカにおんぶしていますね。だから、若い人は、国家とかあるいは国防とか防衛とか外交とかいうことを言いましてもぴんときませんね。年一年とその傾向はひどい。それを私は非常に恐れておるものでございますので、その厳しい面の国家という存在を皆さん忘れちゃいかぬ。それが一番おわかりになっておられるのは私は共産党だと思うんです。
  以上で終わります。
○大脇雅子君 呼び方でございますが、地域的安全保障機構と私は申し上げたんですが、そういう誤解を与えるとすれば、正確に、地域的な紛争の予防のための信頼醸成措置というふうに言わせていただきたいと思います。
  ただ、人間の安全保障ということが、このごろ軍事を離れて人口、食糧、環境、経済、人権などはグローバルな問題として国家を超えてやらないと、もう人類それ自身が存在の危機に遭遇しているので、いわゆる地球が青いうちに我々としては、人間の生存のための人間安全保障というようなことが割合人口に膾炙されてきておりますので、私のイメージはそういうところで使ったわけでありますが、誤解を与えるようならそのように言いかえさせていただきたいと思います。
○笠原潤一君 いろんな御意見を聞いておりまして、いろいろとまた考えさせられるところがあるんですが、要は日本というのは国家として体をなしていないと思うんですよ。
  はっきり言って、日本の国家というのはかつての堺と一緒です。織田信長のころの堺と同じです。そして、いろんな武力でやった中でひとり堺が生き残ったんですよ。そして金をもうけたんです。しかしあっという間に、それはもう五十年か六十年のあれを終えてしまったんですが、日本の国も、
考えてみれば日米安保だとかいろいろなことを言ってよその国の間の中で金をもうけたんですよ、実際の話が、全然手を汚さずに。ですから、堺の商人と何ら変わりがないということなんです、日本というのは。そして、いろんなことを言っているけれども、結果的には、私は主体的にもう少し国家観というものを持たないとだめだと思うんです。
  考えてみると、いろんな問題があるんだけれども、例えばサラエボですよ、サラエボはかってはきれいな町だったんですよ。それでオリンピックもやりましたでしょう。あっという間に瓦解したんですよ。この歴史的な現実を見たときに、ああ、なるほどなということなんです。ですから私は、いつも指導者なりそういうものが一挙に世界を破壊してしまうし、破壊される運命にもあると思うんです。ですから、そういう者を出さないということも一つは大事なんですよ。
  それからもう一つ、マハティールさんとジョージ・ソロス。ジョージ・ソロスがそんな国際的な投機をやるというような金をどこから生み出したかということですよ。それはバックグラウンドがどこにあるかということを考えたときに、一体、国際金融資本というのは何を考えているのか。そういうジョージ・ソロスのような怪物を生み出すというか、いわばジョージ・ソロスのような連中をつくったそのバックグラウンドにまた問題があると私は思っています。
  彼も動かされた人間だと思うんです、ジョージ・ソロスそのものも。ですから、ジョージ・ソロスという虚像に動かされた国際金融資本というのもおかしいし、そして同時にまた東南アジアというのは考えてみれば基本的には金持ちは一部ですよ、本当にわずかな一部しかいない。そこへアジアが経済成長センターのように思われて外国の資本がばばっと、それも短期的な資本だけしか投入しませんよ。そうしてやってきたその結果、またアジアはそんなに急成長しておるように見えたけれども、そうじゃないんだ、実体経済は悪いんだということでぱっと引き揚げた。それが実際の東南アジアの今の混乱につながっていると思うんです。
  ですから、そう思うと、私は先ほどもいろんなことを申し上げたけれども、世界的な経済の枠組みというのがどうも一部の人たちによって動かされているような気がしますし、そういうところに問題点をもう少し絞って討議しなきゃいかぬなと思っておるんです。
  以上であります。
○上田耕一郎君 きょうは皆さんいろいろ本音を出されて大変おもしろい討論になっているんですけれども、板垣さんが憲法見直しか言われ、山崎さんは集団的自衛権を言われたので、ちょっと意見を述べたいのですが、きのう民放のテレビで日高義樹レポート、憲法九条問題、なかなかおもしろかったです。
  当時の民政局のリチャードといったかな、法務部長も出てきまして、第九条を主張して日本にのませたのはやっぱりマッカーサーだと、幣原首相は反対していたということも非常にはっきり言いました。何でマッカーサーが第九条をやったかというと、天皇制を残すためだと、象徴天皇制。第九条がなければ極東委員会は通らないというので、反対する幣原首相にも、象徴天皇制を残すために、日本人は、日本政府も九五%天皇のことしか考えていないというんですよ。あと五%だというんですね、九条その他は。そういう状況だったのでやったと。これはなかなかリアルな証言でおもしろかった。僕も、歴史的にはそうだろうと思います。
  ただ、アメリカが九条で、その九条が中国革命と朝鮮戦争で邪魔になって、日本を再軍備しなきゃいけなくなったので、だからこれは歴史の皮肉があると思うんですね。しかし私は、そういう歴史の皮肉の結果の第九条だけれども、国際的な世論、日本の国内世論は当時憲法九条を圧倒的に支持したと思うんですね。そういう意味では、ただ押しつけられたという意味でなくて、日本国民のものに、また世界の平和愛好勢力のものになっていると思うんですね。
  僕は、客観的に言うと、日本の憲法の前文並びに九条というのは、国連憲章より進んだ非常に理想的な先駆的なものになっていると思うんです。国連憲章が最終的に生まれたのは四五年ですけれども、国際法学者は今は戦争違法化の時代と言います。国際連盟規約、二〇年代の不戦条約それから国連憲章で、戦争は今違法のものとなっている時代だと。ただ許されているのは、国連憲章に言っている共同のものだけだと、今は。国連憲章が四五年の六月に生まれて、その後広島、長崎がありましたから、だから私は、日本の憲法がすべての戦争それからすべての戦力を放棄したというのは広島、長崎という核時代に踏み込んだところで生まれたということで、やっぱり国連憲章より戦争の問題では一歩進んでいると思うんですね。
  だから僕は、人類は、戦争違法化の時代と国際法で言われるこの時代に、もう一歩進んで戦争のない時代に進むべき、これはなかなか困難な大変な問題だけれども、第二次大戦後もうんと死んでいますから、それに向かって進まなきゃならぬ。そういう意味では、そういう人類的な仕事の先頭にやっぱり日本の憲法と日本国民は立っている、そういう国際的貢献を持っていると思うんですね。
  戦争のない時代にするためには、集団的自衛権なんというのは国連憲章に当初なかったのにサンフランシスコ会議で押し込まれたんですから、軍事同盟もつくらない、そういう方向へ進むべきなので、軍事同盟のない世界というのはアジアが一番進んでいるわけです。非同盟諸国に参加している国、今百十一ありますけれども、アジアの国で、中東を除くと、何度も言いますけれども、日本と韓国と中国以外は全部非同盟諸国会議に入っているんですから。マレーシアの国際戦略研究所の所長は、我々の、日本が安保条約をやめてアメリカとは友好条約、それで非同盟諸国会議に参加する等々の方向を全部賛成だというんですね。そのために、日本はやっぱり侵略の反省が必要だということも賛成だと。
  板垣さん、先ほど虐殺の話をされて、私は事実だと思いますけれども、私は一度その発言をして議事録から削除されたことがあるんだけれども、日本軍国主義の犠牲者は二千万人いるんですから、日本がその反省をして、軍事同盟のない世界をつくるためにアジアの国々と共同で進む。非同盟諸国会議は、数は多いけれども経済大国は一国もないんです。日本は世界第二の経済大国ですから、こういう北の国が非同盟諸国会議に入るというのはかってないことだし、僕はそうなれば世界の政治構造、経済構造ががらりと変わると思います。だから、そういう方向を目指してやるべきなので、憲法を変えるとか集団的自衛権とかいうのはそういう時代の方向に背を向けた議論だと私は思っております。
  以上です。
○鎌田要人君 私は、今の新憲法ができたときに国家公務員でございましたから、よくその当時の事情を知っているんです。あのときに政党で反対されたのは、あなたの政党だけ反対されたんですね。御存じですか。
○上田耕一郎君 知っていますよ。
○鎌田要人君 その反対の理由は何ですか。
○上田耕一郎君 天皇制を残すのには絶対反対したんです。
○鎌田要人君 天皇制に反対されて、それであとの憲法の規定は賛成されたんですか、天皇制だけ反対。
○上田耕一郎君 そうです。今でも憲法の天皇条項は反対ですけれども、我々はしかしすぐ天皇をなくせということを今言っておりません。当面の目標にはしておりませんから。それは将来の問題です。
○鎌田要人君 いやいや、その当時のことだけ私は知りたいと思って、あなたの口から知りたいと思ったんです。あのときに共産党だけが新憲法に反対されたんですね。もう今は御存じでない方が
多いでしょう。その真相をあなたの口から伺いたかったんです。わかりました。ありがとうございました。
○会長(林田悠紀夫君) ほかに御意見はありませんか。
  それでは、予定した時間が参りましたので、本日の意見交換はこの程度とさせていただきます。
  委員各位には貴重な御意見を熱心にお述べいただきまして、まことにありがとうございました。
  本調査会は、設置以来、アジア太平洋地域の安定と日本の役割をテーマとして、委員相互間の自由討議を中心に三年間議論を行ってきました。
  金融・通貨危機という同地域をめぐる情勢が一変ずる中で、同地域に果たすべき我が国の役割はますます高まってくるものと存じます。今後は、このような同地域の現状を踏まえ、本日までの熱心かつ積極的な意見交換をもとにいたしまして、理事の皆様と御協議の上、本調査会の活動の成果が実りあるものになりまするよう最終報告案を取りまとめていきたいと存じます。
  これまでの調査会における委員各位の御協力に改めて感謝申し上げます。
  本日はこれにて散会いたします。
    午後四時二十一分散会