質問「『弾道ミサイルの領空通過について』他

(平成10年9月8日参議院外交・防衛委員会会議録より抜粋)


(前略)
○山崎力君 質問通告をしていないんですが、今の時点での問題に絡んで、北朝鮮のミサイル問題に絡んでちょっと外務省の方にお伺いしたいんです。
  今回の問題の最大のポイントは何かといえば、外交あるいは国際法上、事前に危険区域の通告をしていなかった、いろんな事情があるんでしょうけれども、そこがポイントだろうと私は思っております。
  そういう意味で、上空通過、これが大気圏の何キロまで領空、実効支配のできる領空でそれ以上は宇宙になるのでというような議論はあるわけですけれども、そのときに、もし仮にということで言えば、今までの例もよくあったことですけれども、危険区域を通告していれば我が国の対応というものは変わっていたのかいなかったのか。もう一つつけ加えるならば、第二回目の実験をもし北がやるときに、こういうふうな国際世論の反発に対応して危険区域を、水域といいますか空域といいますか、そういうものを通告してきたら我が国はどう対応するつもりなのか。その辺をちょっとお答え願います。

○国務大臣(高村正彦君) 仮に危険区域を通告したとしても、それが日本列島を飛び越えてその先に落ちるような危険区域を通告したのであれば、それは通告しないよりはいいと言うかもしれませんけれども、それはもう全体としてとても評価できることではないし、過去にソ連邦の時代に危険区域を指定してミサイル実験したことがあるわけでありますが、その場合に、別に日本列島を飛び越えたわけでも何でもないわけですが、そのときでも日本政府は抗議はきちっとしているという事実もあるわけであります。
○山崎力君 その点、ソビエト時代の太平洋上への着弾実験のときに我が国の上を通ったのか通らないかというのはいろいろそのとき議論がありまして、通っているかもしらぬ、だけれども、そのときはそれを確認する手段、すべがないということで抗議されたというふうに私も記憶しております。
  ただ、そうすると地理的な要件で、地政学上そういう長距離の弾道ミサイルの実験をする国というのは限られてくるわけでして、そういう意味からいくと、北側の問題というのは我々にとっては非常に頭にくる問題ですけれども、彼らにとってみれば我々の問題だということも、一理あるといえばあることだなと私は思っております。
  ですから、その辺のところをもう少しきちっと国際法上詰めませんと、これはもういつまでたっても水かけ論、こちらの方は上空を飛び越されて落ちてきたらどうするんだと言うし、向こうはそれじゃ我々は実質こういったものの開発ができないような地政学的なところにいればできないじゃないかというようなことになるわけで、その辺の実験その他の上空通過というものは、何らかの国際法上の、今まで法的な裏づけというのは、検討というのはなされて、ある程度の結論めいたものは出ているんでしょうか。

○政府委員(東郷和彦君) お答え申し上げます。
  国際法的にこの問題をどう考えるかということでございますが、例えば委員が今御指摘の上空通過の問題以外にもう一つ落下の問題もございます。落下の問題に関しましては、累次申し上げておりますように……
○山崎力君 済みません、時間がありませんから落下はこの際おいでおいて、通過の問題だけ。
○政府委員(東郷和彦君) 通過の問題に関しましては、領空内を通過するのか、あるいはその上を通過するのかというところで大別されると思います。
  領空内通過ということは、これは国の主権的な権限に触れることでございますので、当然のことながらいいということにはなりません。領空の上のいわゆる宇宙空間につきましては、現在国際法的にこうだというレジーム、枠組みというのは基本的には存在しておりません。
  以上でございます。
○国務大臣(高村正彦君) これは法だけの問題ではなくて、国際法上仮に問題がなくとも、領空よりさらに上を飛んだ場合に、それでもなおかつ日本国にとって危険きわまりないことでありまして、それに対してきっちりした対応をとるのは当然だし、国際社会もそれを支持してくれている、こういうふうに思っています。
○山崎力君 わかりました。
  それでは当初の問題。私が質問通告をした点と大分重なっている部分があると思うんですが、その落ち穂拾いではないんですけれども、間を縫った質問になると思います。
  この問題のポイントというのは、反対する理由は全くないけれども、我々が金を出してそれが有効に使われる、納税者としてその出したお金が有効に使われる担保装置がついているかどうかという問題に尽きると私は思うんですね。
  その有効性の判断のときに、今回の条約その他では行動計画をそれぞれの国がつくるんだと、それでいい、これはよさそうだというものにお金をやるんだと、こういうふうな基本的なスタンスだろうと私は思うわけですが、これはいい計画だと判断する主体はどこになっているんでしょうか。

○政府委員(上田秀明君) 条約に事務局が設けてございまして、先進国側からさまざまな技術協力等が途上国側に行われることも想定されております。そういったことで、総合的に勘案して、それぞれの途上国がつくってくる砂漠化に対応する国別の基本計画ということを、まあ非常に厳密に申し上げますれば締約国会議においていいか悪いかということになろうかと思いますが、事務局の方でいろいろ知見を有しておりますので、日常的にはそこがいろいろなプロジェクトを精査していくということになります。
○山崎力君 その際、事務局のつくった、拠出金をどこにどう使うかという問題、それを事務局が判断するという問題と、国として、我々の判断ではここのところが非常に重要だと思う、だから我々の金はここの地域あるいはこういう計画に重点的に配分してもらいたいという点での能力というのは、我が国政府はこの事務局サイドに対してどの程度持っているんでしょうか。
○政府委員(上田秀明君) 御説明いたしましたように、事務局自体は、途上国、関係国が会議を持っていろいろ知見を共有するとか情報交換するといった程度の規模の予算しか与えられておりません。それぞれの途上国が行います国別計画に対しましては、二国間協力でありますとかあるいは地球環境基金からお金を供与して行うということになります。
  したがいまして、日本といたしましては、さまざまなプロジェクトの中からこの砂漠化対処条約の事務局側がいいと推薦するようなもの、あるいは途上国側から要請があるものに対しまして、資金には限りがございますので、日本として主体的に選んで協力を行っていくということになります。
○山崎力君 最後に、大臣にこの問題に対する要望でございますけれども、こういった計画というのは、やるときはまあそれなりのあれでやるんですが、相手の主権もあるものですから、なかなかその実態評価というもの、特にまずくなった場合にうまくそれを切るとか、あるいはこういうやり方じゃとても金を出せないとかというのはなかなか外交上の問題があってできない傾向がある。
  ほかの問題でもあるのは承知の上なんですが、少なくともいろいろ反省の上に立った、実効が上がらないということで今回新たにできた条約ですから、我が国なりの評価システムをしっかり持って、それを国民の前に明らかにすることによって、一つ一つの計画についてこれだけのことをやっているという、これはすべてODAに共通することですけれども、特にこの問題というのは非常に地球環境全体の問題を含めた形で将来の大きなプロジェクトになると思いますので、その辺の体制、外務省あるいは国会の方へ報告の体制をしっかりつくるということを条約後の実際での外交上あるいは行政上の問題としてお願いしたいというふうに思っております。
  その辺の御決意をお伺いして、私の質問を終わりたいと思います。

○国務大臣(高村正彦君) 本日、ODA年次報告を発表いたしましたけれども、できるだけ情報公開あるいは広報の観点から、国民の税金を使う以上、そういったことを今まで以上にきっちりやってまいりたい、こういうふうに思います。

(後略)