質問「『防衛装備品の適正価格について』他

(平成10年9月10日参議院外交・防衛委員会会議録より抜粋)


(前略)
○山崎力君 最後になります私の質問、今までの委員の中にも出てきているんですが、重なるところも多いと思うんですが、二点、重点的に質問させていただきます。
  個人の背任の構成要件の問題、これは言語道断だということであれなんですが、田先生から始まった契約、そして今の佐藤先生の話の中にも入ってくるんですが、結局この問題というのは、根本的に言えば、防衛庁が装備品の調達を適正な価格で買っているんだろうか、むだな税金を払っているんではないだろうかという国民の根本的な疑問にどう答えるかということだろうと思うわけです。
  その点で、計数のプロそれぞれの人たちがチェックする、しかし企業側からしてみれば適正な価格というのは何なんだという、商品の価格形成のらち外にあるような製品であると。その辺のところをどうやって高く買ってもらうか。これはもうある意味では商売上の駆け引きの部分も当然出てくるわけです。それをどこで具体的な金額を決めて、適正なものとして税金を使って装備していくか、その仕事が本当に国民の目から見て適正に行われているかどうかということに対してどう防衛庁が信頼回復の手段をとるか、これが一番の問題だろうと私は思っております。
  そこの中で今具体的なことで言えば、今回の過大請求額が幾らなんだ、適正かどうかというところが今ポイントになっているわけで、そこのところが内部的に計算したよりもまけて八億にしたと、ここが背任になっているわけですけれども、そうすると、まけたのかまけていないのかという
ことは一つの大きな今度の裁判上のポイントになります。ですけれども、これは今訴えられて被告となっている人たちの問題でありまして、役所としてみれば、別のそういったものと離れて、この金額が幾らだったのか、本来ここから納入して支払うべき金額が幾らだったのかということを再吟味して金額をコンクリートするという作業を裁判と関係なしにしなければいけないものだと私は思うんですが、その点はどうでしょうか。

○政府委員(及川耕造君) まさに現在検察当局の方でどういう事実関係があるかをお調べでございますが、恐らくその事実関係の解明とともに私どもがなすべき作業というのも明らかになってくるだろうというふうに思っておりまして、それに即して資するべき作業はしていくというふうにいたしたいと思っております。
○山崎力君 僕はそれがちょっと違うんじゃないかと思うわけです。
  まさに皆さん方の先輩、前任者がやられた計算がおかしいということで今司直の手を煩わせているわけです。それがおかしいかおかしくないか、自分たちの今の体制で再検討して、それで八億の今のまけたと言われている金額であれば、やはり我々の方としてはこれが正しかったんだ、彼らはまけたわけではないと。まあ吹っかけて駆け引きの材料にしてやったということはあるかもしれませんけれども、ところが計算してみたらやっぱり二十何億だとか、いや五十億だということもあり得るわけです。
  今までのお話を聞くと、その違いはどこから出たかというと、計数の水増したというわけですよ。要するに、一つの工数が幾らかある、それで一つの工数に掛ける金額を幾らだと計算すると、その掛け算のもとの金額は決まっているけれども、掛ける数字自体を向こうが水増ししたからこっちのコストが高くなって全体的に水増しになったんだ、こういうふうなお話をしているわけです。そうしたら、その工数を幾らだと認定したということがなければ、八億だろうが二十何億だろうが数字は出てこないはずなんです。
  そこのところを自分たちが幾つの工数として認定したということは関係者なら把握していなきゃいかぬはずですよ。そこのことを今やらないで、裁判が終わって、裁判所がこの工数でこれだけやったと、それじゃきっとそうなんだから我々もそれにのっとって計算し直しましょう、私にはそういうふうな御答弁に聞こえるんですが、その点はいかがですか。

○政府委員(及川耕造君) 確かにおっしゃるとおり、水増しの背景にございましたのは工数の差異でございます。ただ、先般御説明申し上げましたように、原価差異を計算いたしましたのは、実は原始伝票がなかったという報告を受けておりましたので、損益計算書をベースに計算を行っておりました。したがいまして、工数の差異によって原価差異をはじく方法論はとらなかったわけでございます。
  したがいまして、先生おっしゃいましたように、当然わかっていた工数の差異をベースにして計算しろと、確かにおっしゃるとおり、それでありましたら個々の契約ごとにやるということで比較的わかりやすい計算が出るわけでございますが、それに必要な資料がなかったということで先ほど申し上げましたような方法論をとったと。
  したがって、その方法論自体がよかったかどうかというのは多分今後の捜査の過程でさまざまな要因とともに明らかになってくる。したがいまして、その明らかになってくるものに合わせて私どもも作業をし直すべきかどうか判断すべきだろう、こういうことでございます。
○山崎力君 その辺のところの問題を伺っているわけですけれども、なかったということが、要するに探そうとしたんですか、それとも探したんだけれども見つからなかったんですか。厚生省みたいに後からそういう伝票が出てくるということはないんですか。
○政府委員(及川耕造君) それも恐らく捜査の過程で明らかにされるだろうと思いますが、私どもが受けております報告は、会社の方からそのような資料は提出できませんという連絡があったというふうなことでございます。
○山崎力君 そうすると、そういった会社、報告ができないということは、もう破棄したのか、それとも企業秘密に属するので出せないというのか、どちらですか。
○政府委員(及川耕造君) なかったというふうに聞いております。
○山崎力君 その辺のところの内部規約あるいは法律上どのような形で資料を残さなきゃいかぬかという問題は、これはこの際時間がありませんのでとめ置きますけれども、その辺のところが極めて私は重要なポイントだということを指摘したいと思います。
  もう一点。このいわゆる水増しの請求が詐欺に当たるのではないかという問題が私はあると思います。要するに詐欺の場合、これは考えてみれば納税の際の節税対策なのか脱税なのかというところで、片方は節税だと思ったんだけれども税務署は節税として認めないで脱税だと認定したというような話も聞くわけです。非常に似た感覚でございまして、これだけごまかしてもうけてやろうと明らかに思っていれば、これは最初から詐欺なわけです。
  ただ、単純に工数の計算間違いをしてやればこれは過失の問題です。中間に、このくらいのことは商慣習上認められているな、別にだますつもりじゃないけれども、ほかでもやっているし今までもやってきたしいいなという気持ちであったところが非常に難しい、過失の詐欺みたいな感じで難しいところだと思うんですが、その辺のところを防衛庁としてはどういうふうに会社からの水増し請求に関して判断されたのか。

○政府委員(及川耕造君) 発見された時点では、恐らく詐欺的な要素もあるのではないかという検討はされたのではないかと類推いたしますけれども、ただ問題は、先ほど来御議論ございますように、防衛装備品の供給者というのは限られていることがございまして、もしそれを詐欺罪で告発いたしますと、その間の価格契約ができなくなってしまうわけでございます。したがいまして……
○山崎力君 要するに、つき合う相手が、装備品を出す相手が限られているからそいつは詐欺者であってもつき合わざるを得ない、こういうふうに考えてよろしいんでしょうか。
○政府委員(及川耕造君) 当然のことながら、当時の状況として先方は信義則に反したということで非を悔いて返還をいたしますと言っていたわけでございますので、それに基づいて和解類似の交渉をした方が、その方が国益的にもよいのではないかというふうに考えたのではと思います。
○山崎力君 この問題はまた次の機会でも質問させていただきます。
  最後に防衛庁長官にお伺いしたいんですが、やはり先般の佐藤先生からの話にもありましたけれども、犯罪人と国家はつき合うんですかということになるわけです。それを国益のために、本来法律が求めている司法告発をしないでやるというまでの裁量権を防衛庁はお持ちなのかどうかという点についてお伺いしたいと思います。

○国務大臣(額賀福志郎君) 私といたしましては、私が報告を受けている範囲でお答えを申し上げますと、一定のルールに基づいてこういうふうに解決すべきであるというパターンがなかったときにこの問題を解決していったと。その東洋通信機問題が出てきたときの前例としてはただ一つ日本工機の問題があったものですから、それに倣って一つの解決策をお互いの話し合いの中で見つけ出していったのではないかというふうに考えております。
  私は、今度の背任という形で事件になったことを契機に、この問題についても、先ほど来言っておりますように制度調査委員会を設けてきっちりと透明性、公開性を持って国民の皆さん方から信頼される調達システムを構築してまいりたいというふうに思っております。
○山崎力君 その辺のところの結論というか、政治的な判断になるんですが、少なくともまさに相手方が詐欺の故意を持って契約に臨んだ、入札あるいは随意契約では契約に臨んだといった場合は、その場合、ある程度認定されたといいますか、それが明らかになった場合、過失かどうかの認定すら、重大な過失の場合も司法当局にゆだねるべきだと私は思いますけれども、明らかに今回みたいに先方も認めた場合はこれは役所として訴える、詐欺として訴えるというような形を約束されてもいい時期ではないか。そのくらいやらなければ今の国民のこの装備品調達に対する信頼性を回復することはできないんではないかと思うんですが、その辺についての御見解をお伺いしたいと思います。
○国務大臣(額賀福志郎君) そういう強い疑惑、犯罪性のあるような企業に対しては毅然たる態度で臨むのが当然であるというふうに思います。
○山崎力君 終わります。

(後略)