質問「竹島周辺の暫定水域化について

(平成10年12月3日参議院外交・防衛委員会会議録より抜粋)


(前略)
○山崎力君 今までの同僚委員の質問と重なっている部分が多数ありますので、少し細かくなるかもしれませんが、短い時間ですので的確に答えていただきたいと思います。
  まず、この問題で暫定水域というのがやっぱり一番の問題ですが、竹島の問題はみんな理解していた部分があって、ところがその南方というか西方の部分でも暫定水域ができている。
  この理由は、資料によると、長崎県の男女群島にある島を我々は基点として排他的経済水域を設定しようとしたんだけれども、韓国側はそれは岩であって島でない、基点にならぬということでこれができたということなんです。それは事情はわかったにしろ、今度の新海洋法条約というか、そういった中でこの問題というのは世界各国共通どこでもある問題だろうと、島か岩かという問題ですね。
  竹島も島か岩かということの方で判断する可能性もこれはないわけじゃないんですが、その辺のところを含めて解決手段は条約上どうなっているのか。それに対して将来この問題をほっておくのか、あるいはそれなりのしかるべき裁判所といいますか、調停機関に持っていくつもりなのか。その辺からお伺いしたいと思います。

○政府委員(東郷和彦君) まず、この条約におきます南部の暫定水域についてでございますけれども、累次御説明申し上げましたように、どうしても日韓間で線について合意できなかった。これに関しましては、韓国側は、日本側が主張しました中間線原則に対しまして、日本側の提示した線よりも日本側の方に張り出した線を主張したということでございます。その原因としましては、今先生御指摘になられたような点もあるかとも思いますし、それから基線のとり方をどうするのか等種々の要因がございました。
  いずれにせよ、合意できなかったわけでございまして、国連海洋法との関係では、このように境界画定の合意がどうしても達成できない場合には、海洋法条約の第七十四条三によりまして、関係国が暫定的な取り決めを締結するために努力すべきであるという規定があるわけでございまして、今回、日韓においてもこの規定にのっとって、どうしても合意できない部分に関してはまさに暫定的な処理をいたしたということでございます。
  御質問の今後に関しましては、経済水域の交渉というものを一生懸命やるということを附属書Tの冒頭に記したわけでございまして、先ほど大臣から申したように、この精神に従って誠実に交渉をやってまいりたいというのが現時点での考え方でございます。
○山崎力君 それはもう聞かずもがなのお答えでして、私の聞きたいのは、新しい海洋法条約において島か岩かの判断というのをどうするか。要するに、二国間で問題になったらそこを二国間でやりなさいと言っているのか、それとも条約上、こういうものを島にしますよ、こういうものは岩ですよという定義があるのかないのかということなんです。
○政府委員(東郷和彦君) 国連海洋法におきましては、「人間の居住又は独自の経済的生活を維持することのできない」という、これは海洋法第百二十一条三項の岩に関する定義でございますけれども、こういう規定がございます。
  しかし、それではいかなる状況が人間の居住または独自の経済的生活を維持することができないということであるかにつきましては、海洋法上の解釈というのはいまだ確立されておりません。したがいまして、この規定を参考としつつ、最終的には関係国で議論をして何らかの打開策を見つけるしかないというのが現状かと心得ております。
○山崎力君 そこのところはその点にとどめておいて、今回の一つのポイントというのはやはり暫定水域がどうやって決まったのかということだろうと思うんです。
  素人目で見ますと形が非常によろしくないんですね。どうも日本側には不利ではないかという部分がぱっと見た感じでは受けとめられる、御努力の結果はあるんでしょうけれども。というのは、やっぱり一番考えられるのは、竹島の問題確かにあるんだけれども、竹島がもし岩で、先ほどのあれでは岩で、要するになかったものとしての中心線というものを考えた場合、暫定水域がどうも日本側に張り出しているような感じがすると。
  それから、形の上からいくと、その辺は議論のあるところかもしれませんけれども、ここで一つ問題とさせていただきたいのは、我が国はあくまでも竹島が日本領土であるという主張をしているわけです。そうすると、そこから伴う基線上の二百海里ないしの経済水域というものは当然出てくる。そこのところではみ出した部分というのは、若干は韓国側はあるんだけれども、非常に少ないと。それに比べて韓国側が主張している竹島領有のところのいわゆる経済水域よりも日本側の方、日本海の方に張り出していると、こういうことが先ほどの論拠になるわけですが、それと同時に、北との関係で、三十八度線で水平に切った部分があるんだけれども、出っ張っているのはどういうわけか。
  それから、もう一ついえば、それは今までの議論であったからいいんですが、お答え願いたい点は、三十八度線以北で本来我が国が竹島の領有を主張していれば当然経済水域に含まれる水域が今度の暫定水域の三十八度線以北から暫定水域にかけて存在するはずなんです。これは韓国側は暫定水域に主張していない。我が国は竹島を当然のことながら領有すると主張していれば韓国側が異議を申し立てない水域というのは我が国の経済水域になるはずであると。そのときの考え方とすれば、ここはあくまでも我が国の経済水域として漁業その他の排他的な権利を有するというふうに解釈できるわけですが、それでよろしいんでしょうか。

○政府委員(東郷和彦君) ただいま委員御指摘の北緯三十八度線以北の一部水域に関してでございますけれども、暫定水域を決めるに当たりましてこの点は検討したところでございますけれども、本日累次御説明しておりますように、日本側としましては暫定水域というものはできるだけ小さくとりたいという考え方で臨んだわけでございます。当該水域に関しましては、韓国側として北朝鮮との関係もあり、この水域での韓国漁船の操業は行われていないというふうに理解しているところでございます。
  以上の事情を総合的に勘案し、種々構想全体のパッケージをつくり上げていく過程におきまして、この水域に関しましては附属書Uの3によります処理をいたしたということでございます。ちなみに、それは、「各締約国は、この水域においては、漁業に関する自国の関係法令を他方の締約国の国民及び漁船に対して適用しない。」という形で処理したということでございます。
○山崎力君 ということは、我が国のほかのところである経済的水域と性格が同じなんですか、違うんですか。
○政府委員(東郷和彦君) この協定上のほかの地域とは若干性格を異にした形で本件協定を合意したということでございます。
○山崎力君 その辺のところの説明が全くなされていないという部分を一つ指摘せざるを得ないだろうと思うんです。これはやっぱり国益に関する問題ですから。少なくともここに関しては竹島を我が国が領有している、領土であるというのであれば、そこはそこでやっていかなくちゃいけないはずなんで、その辺のところが韓国とそういった形で約束しているとすれば、それは暫定水域ではないけれども我が国の明確な主権が及んでいない、経済水域としてのそういった地域であるということで、そこはもう少し明確にしないと、今後トラブルが、問題が出てくるのではないかということを指摘させていただきたいと思います。
  次いで、水産庁の方にお伺いします。
  今回の問題で漁民は反対している、内心は反対している方が多いと、先ほど立木委員初めいろいろな指摘があって、問題点があると。そういったことで対策を考えておると。それはどうなるかということなんですが、その前提として、今の漁民の漁獲量その他の現状がどうなっているのか。それが韓国側の不法と我々日本の漁民が思われているあれで被害を受けているという部分の漁獲量という部分もあるだろう。それが今回の協定によってどういうふうになるのか。特に暫定水域の漁法その他によって被害が出てくる、あるいは協定の中によって要するに隻数の制限その他が出てくる、漁獲減が出てくる、そういったものを想定するというのは前提が非常に難しいものですから困難だろうと思うんです。
  ですから、対策費というのは、申しわけない言い方だけれども、ある程度つかみ金的な、積算の根拠が薄弱なものですから、ある程度のものをやって、そこから水産庁としては対策費としてやっていかざるを得ない。その辺のところ、非常に困難な作業、悪く言えば恣意的に予算分配することも可能だということもあるわけですが、その辺をどういうふうに考えてこれから漁民補償あるいは対策を講じようとしているのか、お考えを伺いたいと思います。

○政府委員(中須勇雄君) ただいまの御指摘は、今回の第三次補正予算に計上をお願いしております二百五十億円の新日韓漁業協定関連漁業振興基金というものの性格なり使い方ということについてのお尋ねだと思います。
  確かに御指摘のとおり、これから先、例えば暫定水域においてどういうような資源管理が行われるか、あるいは取り締まりが行われるか、そのこと自体が実はまだ確定していないわけでございます。ただ、考えられることとしては、一定の暫定水域の中の一定水域、例えば大和堆のような水域では日本と韓国の漁船の稠密な漁業活動ということが続く、あるいはそれが激化するということが想定されるわけでございまして、そういうものに対して万全の備えをして漁民の不安感を払拭しようというのが基本的なねらいでございます。
  そのために振興基金については、例えば大変低利な漁業経営の安定資金というものを漁民に提供して、例えば漁獲量が大きく変動していろいろ計画どおりいかなくなった、そういうときに低利の資金を借りられるようにしてはどうか、例えばこういうことを考えております。それから、現在制度として漁獲共済という制度がございまして、過去の漁獲金額、漁獲高というものを保険の対象にする、これも変動が大きかったときに一定部分のてん補が行われる、これに対して掛金の補助をする。さらには、これまで相当荒らされた漁場機能を回復するために、漁場の清掃を含めていろいろ多彩な取り組みを漁業者みずからが行う、そういうものに対して助成をしていく。そういうような想定し得るものを積み上げまして、それを三カ年間とりあえず実施をするということで、二百五十億円というものを積み上げているということでございます。
  したがいまして、これから先、具体的に暫定水域における操業の実態等を把握し、その上で必要なものについてはさらにそういうふうに新しいメニューを考えるというふうなことを含めて対応していく、こういうふうにできるだけ弾力的に対応していきたいというのが現在の私どもの考え方でございます。
○山崎力君 そう御努力願うとして、後で問題にならないような形でやっていただきたいと思うわけです。
  次に、保安庁の方にお伺いしたいんですが、今度のあれで、いろいろ取り締まりあるいは監視等の整備をされていると思うんですけれども、少なくとも一番ある意味で今回交渉の中で問題になった大和堆の暫定水域とそうでないところの警備とかそういった点で、今度の暫定水域用に保安庁としてはどのような増強を考えていられるのか、非常に具体的な数で恐縮ですが、今度の補正でどれだけやっているのか、あるいは来年度の本予算でどれだけのあれをやっているのか、時間がありませんので、隻数とそれから配備、どのあたりにやるということをちょっと教えていただきたいと思います。

○政府委員(楠木行雄君) 最初の委員の方にかなり数字、現状と将来配備等もお答えいたしましたので、今、先生は暫定水域などに絞ってお尋ねかと思います。
  それで、日本海の大和堆及びその暫定水域付近海域、それからもう一つ、東シナ海等に暫定水域に含まれるものがございます。こういったところにつきましては、どうしても陸岸からかなり遠いとか、それから海域の広さ、そういったところ、あるいは冬は非常に荒天である、こういったことを考慮いたしまして、ヘリコプター搭載型の巡視船あるいは大型の千トン型の巡視船を配備して、監視、取り締まりを行いたいと考えております。
  それで、現在私ども十一隻のヘリコプター搭載型の巡視船がございまして、十二隻目を建造中でございます。今回これを新しく着手いたしますと十三隻目になるわけでございますが、一月の下旬にこういった制度が発足をするということになりますと、それまでには今建造中のものは間に合いませんので、この十一隻のものを順次運用調整ということで関係の海域にやり、それからPLと申しますが、先ほどの千トン型のものもかなりの隻数がございますのでやはり運用調整を行っていく。それから、航空機もそれぞれの航空基地から派遣して上空から監視する、水産庁と連携してやっていく、こういうふうに考えております。
  以上でございます。
○山崎力君 時間がありませんので、終わらせていただきます。

(後略)