質問「ドイツ事情、ロシア事情について

(平成11年2月18日参議院外交・防衛委員会会議録より抜粋)


(前略)
○山崎力君 久米大使とそれから都甲大使に一点ずつ。
  ドイツに関しては連立の一方である緑の党のことなんですが、原発の問題であるとか雇用の問題であるとか、そういったスタンスで入ったわけですけれども、その主張がなかなか現実化するのは難しいということになっているわけです。予想されたことではあるんですけれども、このことに対してドイツ国民は、内閣に入った緑の党の主張がどういうふうに現実の政治で行われているかということに対して現状においてどういうふうな見方を緑の党にしているのかという点を一点。
  それから、都甲大使に対しては、ロシアのシステムの中で、特に市場経済の中で流通、情報のインフラというものが非常に重要だろうと思うんですけれども、その辺の力の入れぐあいといいますか認識度がどうなのかと。要するに、いわゆる西側の市場経済のメカニズムの中でやっていけるところまで行くのに相当かかるんじゃないかという気がするんですが、その辺のところの状況を教えていただきたいということ。
  二点、お願いします。

○説明員(久米邦貞君) 御指摘の緑の党のドイツでの受けとめられ方でございますけれども、これは二つ、非常に極端、対照的な例がございます。
  三人閣僚が入っておりますけれども、一方ではフィッシャー外相は大変現実への対応をうまくやったということかと思います。例えば核先制不使用の問題を提起はいたしましたけれども、これはあくまでNATOの中での議論のために提起しているんだと。ドイツとしては同盟の調和といいますか、意見に従うということでやっております。
  他方、環境相、環境大臣になられましたトリッティンという、これも緑の党の出身でございますけれども、原子力政策については相当ラジカルな緑の党の主張をそのままぶつけて、外国では再処理の放棄の問題、禁止の問題をめぐってフランスとイギリスが対立いたしまして、国内でも経済界と激しく対立をするということで、その辺の現実性の対応というのがどちらかというと世論からも批判されるという形になっております。
  結果として、先ほどもちょっと申し上げましたけれども、ヘッセンの州議会選挙というのが先週行われまして、ここで一番票を失ったのは緑の党でございます。一一%から七%に四%の支持を落としていますので、そういうところに世論の批判が若干出ているのかなということがございます。
  それと、若い世代の支持層が特に緑の党については減っております。この理由としては、最近若年層の失業問題というのが非常に深刻になっておりまして、そういう年齢層にとっては環境問題以前にやはり自分の職が欲しいということで、環境問題を主な柱とする緑の党に対する支持が減っているというような分析がなされております。
○説明員(都甲岳洋君) 御指摘のように、流通の問題あるいは情報の問題等、まだ問題がなくはないと思います。七十四年間の共産主義体制を自由市場経済に変えるのがいかに難しいかというのはそのとおりでございます。
  しかし、モスクワを見ておりますと、やはり流通は際立ってよくなってきていると。例えば、花屋がモスクワじゅうにありますけれども、ロシア人は花が好きですけれども、前の晩にオランダから輸入してきて次の日にはほとんど売れちゃうというので、花屋が非常に今はやっております。それから、町のスーパーその他についても同じような状況がありますし、今そういうことで急速にこれは進んでいる。
  ただ、企業のマネジメントその他でいろいろ問題がございますので、橋本・エリツィン・プランの中の重要な問題は、日本センターをモスクワ、ハバロフスク等につくっていろんな講座を設けて今までやっております。それから、千六百人ぐらいロシアでも教育しましたし、五百人ぐらい日本に呼んでそういうマネジメントの教育をするということを今やっておりまして、こういう貢献というのは非常に重要だというふうに思っておりますから、まだ完全に自由経済としてシステムが確立するにはなかなか難しい。例えば七割が貨幣経済、物々交換だったり、税金を払う人が、なかなか納税制度がうまく機能しないというような問題、いろいろございますので、政府としてもそういうところの法律を確保し、それからシステムをきちっとするのに非常に力を入れているところでございます。
  ですから、完全に日本あるいはアメリカ、ヨーロッパのようになるには時間がかかると思いますけれども、基本的な枠組みはもうできつつあるという感じがいたします。
  それから情報については、報道の自由というのはもう完全に今確立されていますから、モスクワでも相当数の新聞がありまして、それぞれが自由な主張をしていますので、昔はプラウダとイズベスチアだけを読んでいればよかったんですけれども、今はとても大変になっていると。
  それから、テレビが主なメディアになっておりまして、テレビは主に広告でやっておりますから、その広告を見てみますと、今までは西側の広告が非常に多かったんですね。ただ、最近、ルーブルの切り下げで外国企業が若干引いたということから、ロシア企業が随分広告をするようになっております。
  そういうことで、やはり基本的には報道の自由を通じていろんな見解が伝わるし、それから市場も報道を利用しながら拡大しているという状況を見てみますと、やはり資本主義の独特のメカニズムというのはロシアでもどんどんと拡充しつつあるという感じがいたします。

(後略)